2024年4月からスタートしたNHKの連続テレビ小説『虎に翼』が、人気を博しています。
第19回までの平均視聴率は、個人・世帯ともに前々作『らんまん』前作『ブギウギ』を超えました。
『虎に翼』は、女性初の弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子をモデルにしたオリジナルストーリーです。筆者も視聴していますが、戦前~戦後という女性の社会参画が難しい時代に活躍した主人公寅子と周りの女性たちの苦悩は、現代の女性にも通じるものと感じています。
今回は『虎に翼』で描かれる女性の苦悩と、女性人材の活用を積極的に推進する企業を紹介する「なでしこ銘柄」、フェムテック産業について解説していきます。
NHK連続テレビ小説『虎に翼』とは
『虎に翼』とはNHKの連続テレビ小説(午前8:00~8:15、午後0:45~午後1:00)枠で2024年4月1日(月)から放送されています。
日本で女性初の弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子をモデルに、オリジナルストーリーとして主人公寅子(キャスト・伊藤沙莉)が困難な時代に立ち向かう姿を描きます。
寅子は女学校を卒業後、「結婚して家庭に入った方が幸せ」と言う母親の反対を押し切り明律大学女子部に入学します。
法曹の世界に飛び込み弁護士になった後、結婚し子どもが生まれ第二次世界大戦で夫が亡くなり、新しい憲法に感銘を受け裁判所で働くことを決意、家庭裁判所の設立に携わりました。
その後、判事補兼事務官としてラジオなどで家庭裁判所を広め、アメリカの家庭裁判所に視察に行き、帰国後新潟の裁判官に異動・昇進するというストーリーです。(2024年7月9日現在)
登場人物一人ひとりが魅力的で、性格や背景が丁寧に描かれていながらもストーリーはテンポが良く、痛快と感じる場面もあります。
筆者は途中から視聴しましたが、最初から観たくなりサブスクリプションサービスに加入し全て見るほど夢中になっています。
『虎に翼』では、現代にも通じる働く女性の悩みや苦しみが描かれています。
『虎に翼』で描かれる女性の苦悩
『虎に翼』の前半は戦中から戦後の時代ですが、例えば以下のように現代にも通じる女性の苦悩が描かれています。
生理については女性間でも個人差があり、寅子のように寝込んでしまう人も存在します。1947年の労働基準法制定で生理休暇が定められていますが、寅子は「これだから女は」と言われたくないため生理休暇を取らず働いています。現代でも2020年に生理休暇を請求した人の割合は全体のわずか0.9%です。
また、同ドラマでは寅子の父や兄・夫は戦死してしまいます。戦後、働いて自己実現したいという思いと弟を大学に行かせてやりたいことから、寅子は外で働き一家を支えることを決意します。その後寅子は裁判所で働くことになりますが、女性初の弁護士・裁判官として広報も行っていた寅子は多忙を極め娘・優未を始め家族と過ごす時間が少なくなってしまいました。
2024年7月9日の放送では、戦死した兄の妻で寅子の親友・花江が寅子の娘について「寅ちゃんが見ているのは本当の優未じゃないの」と本音を吐露するのです。
上記のやり取りは、まるで現代の「家庭を顧みない夫」と「1人で家事・育児をこなす妻」のような構図に見えてしまいます。
そして寅子は、戦前は女性初の弁護士、戦後は女性初の裁判官として周りから良くも悪くも特別な扱いをされるのです。
戦後、女性初の裁判官として広報の一環でラジオに出ると「女性の味方」として人気が出ますが、家庭裁判所に来た自身に非がある女性に「女性の味方」を求められてしまう場面もあります。
改めて知っておきたい「なでしこ銘柄」
『虎に翼』を見て筆者が連想したのは「なでしこ銘柄」です。
なでしこ銘柄は東京証券取引所と経済産業省が共同で、上場企業の中から女性人材の活用を積極的に進めているまたは環境整備を推進している企業を紹介するものです。
12回目の選定となる2023年は27社が選定されました。
2023年からは「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」が特に優れた上場企業を「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として、16社紹介されています。
■株式会社日本取引所グループ
2023年度「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の公表について
味の素株式会社やアサヒグループホールディングス、株式会社株式会社LIXIL、株式会社大和証券グループ本社などが選ばれました。
2023年度「なでしこ銘柄」選定企業27社群の売上高営業利益率と配当利回りを東証プライム銘柄の平均値と比較したグラフを見ると、2022年通期で売上高営業利益率(営業マージン)と配当利回りともに、市場平均を上回っています。
女性の社会参画とフェムテック
近年、「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」をかけあわせた造語「フェムテック」が注目を集めています。
フェムテックは、生理・月経・更年期など女性の健康課題をテクノロジーの力で解決するための製品・サービスで、例えば月経管理アプリ・オンラインピル処方などが挙げられます。
今後市場規模が伸びることが見込まれており、フェムテックの銘柄も投資家にとって要注目と言えるでしょう。
そしてフェムテックで健康課題が解決されると、女性の社会参画の機会が増えていくのではないでしょうか。
『虎に翼』の時代にフェムテックの製品・サービスがあれば寅子はどうなっていたのか、興味深いですね。
まとめ
人気ドラマ『虎に翼』と、なでしこ銘柄、フェムテックについてお伝えしてきました。
ドラマのように身近なエンターテインメントも、投資のヒントとなることがあります。
この記事が、投資のヒントになれば幸いです。