第60回「逆張りFX投資家は円買いポジション積み増し!?」

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ドル円、150円台乗せ 2カ月半ぶり高値

 

今週のドル円はじり高の展開が続きました。先週発表された米経済指標は強弱入り混じる内容となっていましたが、それでも149.55円まで値を上げる場面がありました。今週もその流れを引き継いで円売りとドル買いが進んだ格好です。

 

特に14日に発表された9月米小売売上高や10月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、前週分の米新規失業保険申請件数、10月米NAHB住宅市場指数が予想よりも強い内容だったことが分かると、米経済の底堅さが改めて意識されて、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが進行。NY午後には150.32円と8月1日以来約2カ月半ぶりの高値を更新しています。市場では「堅調な米経済指標で利下げの織り込みが後退し、米債利回りが上昇する中、円はアンダーパフォマーとなっている」との声が聞かれています。

 

*Trading Viewより

 

ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は14日の講演で「最近の経済データから、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)ほどの緊急性を伴わずに追加利下げに対応できる」との見方を示しています。

 

一方、植田和男日銀総裁は先月の金融政策決定会合後の会見で「円安の修正で利上げの判断に<<<時間的余裕>>>ができた」と発言してます。そして、石破茂首相も政策金利の引き上げに慎重な姿勢を示し、首相就任前の発言について「火消し」を図っています。そのため、市場では「日銀の早期追加利上げ観測」が後退しています

 

あるマーケットアナリストは日銀が10月に動く可能性が低いことと強い米経済統計を挙げて、「ドルは152円に上昇するとみており、その動きは止まらないようだ」との見通しを示しています。

 

 

 

逆張りFX投資家は円買いポジション積み増し!?

 

市場では、日本の個人投資家の円買いポジションが3カ月ぶりの高水準となっていることが話題になっています。東京金融取引所がHP上で公表している外国為替証拠金(FX)取引「くりっく365」のデータを見ると、個人投資家の円買いポジション=ドル円ショートは10月8日時点で25.2万枚となっており、7月9日時点の26.9万枚に迫っています。

 

*東京金融取引所のデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

市場では「心理的節目の150円乗せで政府・日銀による為替介入へのリスクが意識され始め、日米の政治イベントも控えて円が上昇反転しやすいとの読みが『逆張り』の円買いを促している」との指摘がありました。「米経済指標が下振れに転じた場合の円高リスクや、日本の総選挙、米国の大統領選といった不確定要因がある中で円安進行は限定的との見方も、円買い増加につながっている」と指摘する向きもありました。

 

なお、4月には過去最大となる29.5万枚の円買いポジションを記録しています。

 

 

 

投機筋、順調に円買いポジションを縮小

 

一方、ヘッジファンドによる円買いポジションは順調に縮小しています。投機筋は今年7月には過去17年間で最大規模となる円売りポジションを構築していました。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した7月2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは18万4223枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。

 

ただ、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが続き、9月24日時点の投機筋のポジションは6万6011枚の円買い越しと、2016年10月以来の円買い越し=ドル円のショートとなりました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

しかしながら、この動きも一服し、昨日10月18日(日本時間19日早朝)に発表された10月15日時点の建玉報告によると、投機筋の円の対米ドルポジションは3万4110枚の円買い越しと前の週から2418枚減少したことが明らかに。投機筋の円買いポジションが順調に縮小していることが分かります

 

「このまま底堅い展開が続くと投機筋の円買いポジションが解消されて円安が加速する可能性が意識される。NYダウが連日で史上最高値を更新する中、リスク・オンの円売りも出やすい」といいます。いつか見た「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」になる可能性も否定できない状況となっています。

 

 

 

設定したストップロス水準を割り込むまでは

 

私は「高市氏勝利」と「年末ラリー」を期待して、9月26日にドル円を「144.655円」でロングしていました。「石破ショック」でロスカットを覚悟していましたが、設定した水準を割り込むことはなく、するすると上げてしまいました。正直、早々にロスカットになると思っていました。

 

*IG証券より


ドル円の日足チャートを見ると、1年2カ月ぶりの安値139.58円という、かなり分かりやすい下値目処が出来ています。よって、ここより若干下の「139.50円」にストップロス注文を設定しています。さらなる上値トライを期待して、ここを割り込むまではポジションを維持する予定です。なるべく、「利益は伸ばしたい」ところです。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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