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日米韓、初の財務相会合
日米韓は今週17日にワシントンで初となる財務相会合を開き、「最近の急速な円安及びウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存のG20のコミットメントに沿って、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」と盛り込んだ共同声明を発表しました。
通貨安に悩む日本と韓国の財務相が足並みをそろえて自国通貨安に対する懸念を表明し、日韓安全保障分野でも連携を強める米国を巻き込み、声明を発表するのは異例。当然これには「市場へのけん制を強める狙い」もあります。翌18日にドル円は154円を割り込み、153.96円まで下押しする場面がありました。逆に言えば、「異例の対応」をもってしても瞬間的に154円を割り込んだだけ、と言えます。ドル円の18日の終値は154.64円ですので、「あまり効果はなかった」と言えます。
*Trading Viewより
むしろ、このところ「米連邦準備理事会(FRB)高官によるタカ派的な発言」が相次いでおり、米金利上昇とドル高が進んでいます。今年に入り数カ月が経過した中で、景気と労働市場が底堅さを見せており、インフレは想定よりもはるかに根強いことが判明しています。そのような状況で、パウエルFRB議長は「インフレが長引けば当初の想定よりも長期にわたり高金利を維持する」と述べ、これまでのトーンを変化させています。
パウエル議長は3月の議会証言で「FRBが利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する確信は“そう遠くない”将来に得られる」としていたにもかかわらず、「最近の経済データを受けて目標達成の自信が持てなくなり、その自信を得るまでにいまだ時間がかかる」と姿勢を転換していますが、市場では「根強い米インフレはパウエル議長自身が昨年12月に利下げの可能性を時期尚早に示唆し、金融市場の楽観論に火をつけ、経済活動に拍車をかけたことも一因」との恨み節も聞こえてきます。
為替介入実施は近いのか!?
さて、日本の当局が日米韓財務相会合やG7で為替安定についての議論を主導しているのは、「国際協調の枠組みを通じて、円安に歯止めをかけたい」との狙いがあるからですが、ユーロ円をショートしている私にとって重要なことは「為替介入は近いのか!?」ということにつきます。市場関係者からは「財務相会合やG7で議論を主導したのは介入のための地均し」のためであり、「近いうちに為替介入に踏み切る」との見立てもあります。
ただ、16日に付けた34年ぶりの高値154.79円や大量のノックアウトオプションが観測されている155.00円を上抜けて、急速に円安・ドル高が進んだあとになると自動的にユーロ円も急伸し、私のストップロスが付いてしまいます。
*IG証券より
現在、ユーロ円(標準)をロット「1」、163.929円でショートし、ストップロスは直近高値である3月20日の165.35円より少し上の「165.45円」に設定していますが、仮にドル円が155円を突破し大きく上昇した場合はユーロ円も165.45円を上抜けてしまうでしょう。
個人投資家は過去最大規模の円買いポジション
政府・日銀による為替介入への期待もあり、ユーロ円をショート=円買いポジションを構築したわけですが、個人投資家も同じような理由から円買いポジションを維持していることが伺えます。下のグラフは東京金融取引所がHP上で公表している外国為替証拠金(FX)取引「くりっく365」のデータです。個人投資家の円買いポジション=ドル円ショートは2月に記録した過去最大である28.4万枚とほぼ同じ28万枚程度となっており、円買いポジションが依然として高水準であることが分かります。私と同様、為替介入を期待(切望)して、ポジションを維持していることが伺えます。
*東京金融取引所のデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
投機筋の円売りポジションは17年ぶりの高水準
一方、ヘッジファンドによる円売りポジションは過去17年間で最大規模に膨らんでいます。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した9日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは16万2151枚とその1週前の14万3230枚から1万8921枚増加しました。これは2007年6月以来の高水準であり、円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となっています。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
「ポジションが偏れば反動は大きくなる」と言います。先に政府・日銀による為替介入でドル円を大きく押し下げてくれれば、個人投資家が助かり、ヘッジファンドが損をする格好になります。逆に先に155円や160円を突破されてしまうと個人投資家が損をこうむり、ヘッジファンドが得をする格好になります。市場では「円売り(ドル円ロング)がここまで増えると、ちょっとしたきっかけでヘッジファンドがポジションを巻き戻し、利益を確定するかもしれない。現在、ドル円をロングしているトレーダーは難しい判断を迫られている」との声が聞かれていますが、同時に「ドル円をショートしている個人トレーダーも難しい判断を迫られている」とも言えます。
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