日々是売買~トレードへの道

第67回「ドル円、またまた160円台を目指していくのか」

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ドル円、157円台後半 約5カ月ぶりの高値

 

今週のドル円相場も底堅い展開となりました。20日の東京市場では一時157.93円と7月17日以来約5カ月ぶりの高値を付けています。今週注目のビッグイベントである「米連邦公開市場委員会(FOMC)」「日銀金融政策決定会合」の両方も以って円安とドル高が進んだ格好です。

 

*Trading Viewより

 

米連邦準備理事会(FRB)が17-18日に開いたFOMCでは市場予想通り0.25%の追加利下げが決まりました。ただ、同時に公表されたFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)では、2025年末時点の中央値が上方修正され、利下げ回数が2回と前回9月の見通しから半減。加えて、パウエルFRB議長が会見で「今回の利下げ決定はぎりぎりの判断だった」「追加調整を検討する上で慎重姿勢を強める可能性」「金利は中立水準にかなり近づいた」「金利調整プロセスの新たな段階に入った」などと発言すると、米長期金利の上昇とともにドル買いが広がりました。

 

*FRBのHPより

 

なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは19日に一時4.59%前後と5月31日以来の高水準を付けています。

 

*Trading Viewより

 

一方、日銀は18-19日に開いた金融政策決定会合で、追加の利上げを見送り、現在の金融政策を維持することを決めました。日銀は7月に追加利上げを決めましたが、そのあとは9月、10月、12月と3会合連続で現状維持を決めています。また、植田和男日銀総裁は決定会合後の記者会見で、「次の利上げ判断に至るには、もう1ノッチ欲しい」「来年の春闘を含む賃金動向を見極めたい」などと発言。日銀は「利上げに慎重」との見方が広がる一方、FRBによる利下げペースは鈍るとの見方が強まっており、円売り・ドル買いが出やすい地合いとなっています。

 

 

 

投機筋の円買いポジション、縮小

 

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する建玉報告を見てみると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円のポジションは7月2日に18万4223枚の円売り越し=ドル円のロングとなり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録しました。ただ、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが続き、9月24日時点の投機筋のポジションは6万6011枚の円買い越し=ドル円のショートとなり、2016年10月以来の高水準を付けました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

しかしながら、この動きはさらに一転二転します。11月12日には6万4902枚の円売り越し=ドル円のロングになったかと思えば、13日に発表された12月10日時点の建玉報告によると、2万5752枚の円買い越し=ドル円のショートに再び振れています。もっとも、昨日20日(日本時間21日早朝)に発表された12月17日時点の建玉報告によると、円買いポジションは5961枚と前の週から1万9791枚減っており、再び円売りに転じるかどうかという水準まで縮小しています。「米連邦公開市場委員会(FOMC)」と「日銀金融政策決定会合」前のデータであることを考慮すると、すでにポジションは円売りに傾いている可能性が高そうです。

 

 

 

7月3日の高値161.95円突破を狙いたい

 

私は「高市氏勝利」と「年末ラリー」を期待して、9月26日にドル円を「144.655円」でロングしていました。「石破ショック」でロスカットを覚悟していましたが、設定した水準を割り込むことはなく、するすると上げてしまいました。正直、早々にロスカットになると思っていました。

 

その後、12月5日には「150.325円」で追加ロングしていますが、これは11月15日の高値156.75円の突破を期待してのポジションメイク。平均コストは「147.49円」となっていますが、11月15日の高値を上抜けたことで今後は7月3日に付けた約37年半ぶりの高値161.95円突破を狙いたいところ

 

ドル円の日足チャートを見ると、1年2カ月ぶりの安値139.58円という、かなり分かりやすい下値目処が出来ており、ストップロスはここより若干下の「139.50円」のままに設定しています。

 

*IG証券より

 

先週は200日移動平均や50日移動平均、一目均衡表雲の上限など、重要なサポートレベルで下げ止まり、チャート的にも上サイドを狙える位置。日銀の利上げについては、植田日銀総裁の会見では「春闘やトランプ次期米政権の政策を判断するには長い期間見ないと全体像が判明しない」との見解。「輸入物価の対前年比は落ち着いている」と円安への懸念にも言及しなかったとあって、市場は「少なくとも現時点での判断では、利上げは来年3月か4月だろう」との認識が広がっています。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第67回「ドル円、またまた160円台を目指していくのか」
第66回「日銀の年内利上げ観測後退 1月すらも怪しい」
第65回「感謝祭ウィーク週末のNY午後(日本の夜中2時)」
第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
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第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
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第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
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第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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