日々是売買~トレードへの道

第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」

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ドル円、2カ月ぶりの高値まで戻す

 

ドル円は先週からの流れが継続する格好で上値を伸ばし、10日には8月2日以来約2カ月ぶりの高値となる149.55円まで値を上げる場面がありました。目先レジスタンスとして意識されていた8月16日の高値149.35円や15日の高値149.39円を上抜けてします。

 

石破茂首相は2日、植田和男日銀総裁との会談後、「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」「これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」と発言。首相就任前の発言について「火消し」を図りました。

 

さらには、4日の9月米雇用統計が予想よりも強い結果となったことを受けて、市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが想定より遅くなるとの見方が強まり、米長期金利の上昇とともに円売り・ドル買いが優勢となりました。その流れが今週も続きました。

 

*Trading Viewより

 

今週も重要な米経済指標の発表が相次ぎましたが、結果は強弱入り混じる展開。10日の9月米消費者物価指数(CPI)は予想を上回りましたが、前週分の米新規失業保険申請件数は予想より弱い内容に。また、9月米卸売物価指数(PPI)は前月比で予想を下回った一方、前年比で予想を上回り、食品とエネルギーを除くコア指数は前月比が市場予想と一致し、前年比が予想を上回りました。10月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は予想を下回りましたが、同時に発表された1年先の期待インフレ率は予想を上回るなど、米経済指標はまちまちの内容となっています。

 

 

 

米利下げへの確信度合い、一段と低下

 

米国債市場ではFRBが「年内にあと2回利下げをするか」について確信度合いがますます低下しています。米経済指標が強弱まちまちで、大幅な金融緩和を正当化する根拠を示せない中、米国債相場は今週も下落。米10年債利回りの昨日11日の終値は4.10%となり、10日には4.1158%前後と7月31日以来の高水準を付けています。

 

*Trading Viewより

 

米連邦公開市場委員会(FOMC)当局者が前回9月会合後に示したドット・プロットでは、年内2回の追加利下げが見込まれていましたが、10日にボスティック米アトランタ連銀総裁が「最新のインフレ、労働市場データにより、FRBは忍耐強くなれる」「11月の金利据え置きについて、私は間違いなくオープン」「今年の利下げをスキップしても全く問題ない」と述べ、11月金利据え置きの可能性を示唆。米債売り(金利は上昇)が進みました。

 

市場関係者からはボスティック総裁が言及したように、マーケットは利下げスキップの可能性を意識し始めているとの声が聞かれています。

 

 

 

投機筋、円売りポジションを積み増しか?

 

ヘッジファンドによる円売りポジションは7月、過去17年間で最大規模に膨らみました。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した7月2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは18万4223枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。

 

 

ただ、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが続き、9月24日時点の投機筋のポジションは6万6011枚の円買い越しと、2016年10月以来の円買い越し=ドル円のショートとなりました。しかしながら、この動きも一服。昨日10月11日(日本時間12日早朝)に発表された10月8日時点の建玉報告によると、投機筋の円の対米ドルポジションは3万6528枚の円買い越しと前の週から2万244枚減少したことが明らかに。投機筋の円買いポジションが急速に縮小しています。先週時点で「トレーダーらは円安を予想して投機的な円売りポジションを再び積み増している」との声が聞かれていましたが、それが明らかになった格好です。

 

 

 

設定したストップロス水準を割り込むまでは

 

私は「高市氏勝利」と「年末ラリー」を期待して、9月26日にドル円を「144.655円」でロングしていました。「石破ショック」でロスカットを覚悟していましたが、設定した水準を割り込むことはなく、するすると上げてしまいました。正直、早々にロスカットになると思っていました。

 

*IG証券より


ドル円の日足チャートを見ると、1年2カ月ぶりの安値139.58円という、かなり分かりやすい下値目処が出来ています。よって、ここより若干下の「139.50円」にストップロス注文を設定しています。さらなる上値トライを期待して、ここを割り込むまではポジションを維持する予定です。投資の格言にも「損切りは早く、利は伸ばせとありますしね。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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