IPOでは公開価格で購入できる投資家は限られます。しかし、初値(上場後に最初に売買が成立した値段)で買うことはそれほど難しくありません。今回は2024年上半期(1月~6月)IPOで初値買いが成功した(初値で買っても儲けが出た)銘柄のうち初値比上昇率上位3銘柄を紹介したいと思います。
なお、ランキングは2024年11月20日の終値をもとに算出し、チャートは11月20日までのデータを反映しています。
初値比上昇率1位:Postprime(198A)
金融SNS「PostPrime」を運営するPostprimは、2024年6月20日に東京証券取引所グロース市場に上場しました。初値は450円で2024年11月20日の終値は711円と58%高となっています。
初値は公開価格450円と同値となり、やや期待外れのスタートとなりました。しかし、その後の動きは驚異的なものとなりました。初値形成後は上昇し、ストップ高で上場初日の取引を終えました。その後も連日ストップ高となり、6月27日に1330円まで上昇、さすがにいったん売りに押されたものの、7月2日に再度高値を取りに行き1427円まで上昇しました。これが上場来高値となっています。
業績ですが、25.5期通期の営業利益予想は3億0700万円(前期比12.5%減)と減益の予想となっています。これは新規事業への先行投資を行うことが要因とのことです。
株価は今期の減益見通しが嫌気され、大きく下落。足もとでは700円前後で推移しています。株価が反転し再度上場来高値を狙えるようになるためには、先行投資がしっかりと収益拡大に結び付く、またはその兆しが見えることが必要と考えます。
【Postprimeの週足チャート】
初値比上昇率2位レジル(176A)
マンション一括受電サービスなどを展開するレジルは、2024年4月24日に東京証券取引所グロース市場に上場しました。初値は1205円で2024年11月20日の終値は1800円と49.4%高となっています。
レジルは、マンション向けに受変電設備設置による電力供給を行う分散型エネルギー事業、法人の脱炭素化支援や電力供給を行うグリーンエネルギー事業、電力会社等のエネルギー企業の後方業務のDXによる業務改革支援を行うエネルギーDX事業を主な事業を展開しています。
業績は堅調であり、25.6期第1四半期の連結営業利益は14.5億円(前年同期比13.9%増)となりました。これは、分散エネルギー事業が、夏の猛暑の影響などもあり堅調推移したことなどが要因としています。
25.6期の連結営業利益予想は31.3億円(前期比12.1%増)と増益を見込んでいます。今後も順調な業績推移が期待されます。
【レジルの週足チャート】
初値比上昇率3位 トライアルホールディングス(141A)
九州地盤のディスカウントストア大手であるトライアルHDは、2024年3月21日に東京証券取引所グロース市場に上場しました。初値は2215円で2024年11月20日の終値は2904円と31.1%高となっています。
主力の流通小売事業では、「TRIAL」ブランドのディスカウントストアを全国に展開。生鮮食品や総菜をはじめとした食品を強みに、日用消耗品などの生活必需品から家電製品やアパレル用品、ホビー用品などまで幅広く取りそろえています。店舗数は24.6期末時点で318店舗となっています。
業績については、25.6期通期の連結営業利益予想は230億円(前期比20.0%増)と二ケタ増益を見込んでいるものの、25.6期第1四半期の連結営業利益は49.3億円(前年同期比11.2%減)と減益での着地になりました。
ただ、これは積極的な出店による販管費の増加が要因であり、同社では上期計画達成に向けて計画の範囲内での着地だったとしています。25.6期は27店の新規出店を計画。今後も店舗数の増加による収益拡大が期待されます。
【トライアルHDの週足チャート】
まとめ
2024年上半期(1月~6月)IPOで初値買いが成功した3銘柄については、1位のPostprimeswでも初値比上昇率は58%(2024年11月20日時点)でした。
2023年IPOで初値買いが大成功した3銘柄の初値比上昇率1位だったクオリプスは約5.3倍(2024年10月2日時点)だったことを考えると、やや物足りない結果でした。
ただ、2024年上半期(1月~6月)IPO(全38銘柄)で初値買いが成功した銘柄は2024年11月20日時点で5銘柄のみでしたの。成功割合の低さも、初値比上昇率の差に影響したと考えられます。逆に言えば、今回取り上げた3銘柄は上昇率はそこまで高くありませんが、厳しい状況のなか健闘しているといえます。