「窓」は空白の価格帯
株価のローソク足チャートを眺めていると、「窓」をよくみかけます。
「窓」とは、ローソク足の始値、高値、安値、終値のうち、当日の安値が前日の高値よりも高い場合、当日と前日のローソク足の間に重なる部分のない空白の価格帯のことをいいます。
当日の高値が前日の安値よりも低い場合も、当日と前日のローソク足との間に重なる部分のない空白の価格帯ができます。
この空白の価格帯を「ギャップ」とも呼びます。「窓(ギャップ)」は相場の上昇時は基調の強さを、相場の下落時は基調の弱さを示しています。
「窓」を埋める
「窓」が開いた方向に強い勢いがあることを示唆します。明確な定義はないですが、上昇相場や下落相場の初期に現れる「窓」は少なくとも1~2カ月は同一方向に相場が継続する傾向があるという見方もあります。
後日、上昇相場や下落相場が終わったあとの反動で、以前形成した「窓」の価格帯で取引が成立し、「窓」をふさぐ形になることを「窓埋め」といいます。「窓(ギャップ)」には主に相場局面に応じて4つの種類があります。
コモンギャップ
出来高が比較的少ないもみ合い相場やボックス相場の途中に生じるもので、あまり重要な意味がない場合が多いです。
小型株に多く出現する傾向があります。領域ギャップともいいます。
ブレイクアウェイギャップ
もみ合い相場のレンジを出来高の増加を伴いながら放れるギャップのことです。特に、上方へ放れるときにできることが多いといわれます。
非常に重要なギャップで、新たなトレンドの始まりを示唆することが多いです。突破ギャップともいいます。
ラナウェイギャップ
上昇トレンドや下落トレンドの途中で発生するギャップです。急騰または急落の途中に現れ、価格変化の勢いが強いことを示唆しています。
急騰や急落の開始からギャップまでの変動幅が、ギャップ後の新たな変動幅の目安とされ、メジャリングギャップ(測定ギャップ)ともいわれています。継続ギャップともいいます。
イグゾーションギャップ
トレンドの最終局面に出現するギャップで、大きな出来高を伴うことが多いとされています。
消耗ギャップともいいますが、ランナウェイギャップとの区別が難しい場合があります。ランナウェイギャップで形成した「窓(ギャップ)」がすぐに埋められるとイグゾーションギャップになります。
酒田五法の「三空」が有名
酒田五法では、「窓」を「空」という表現で、その数により「一空」、「二空」、「三空」と呼んでいます。「二空」までは珍しくはないですが、「三空」はまれで人気相場や悲観相場のような強弱感が強いときに現れることが多いです。
ただ、「三空」ともなると、大衆がそろって同じ方向へ向かって相場を吊り上げているため、反転した場合には逆方向へ動くリスクもそれなりに大きい。
上げ相場では、「三空踏み上げ」という表現で、「三空」なれば利食い、またはいったん手仕舞いとしています。一方、下げ相場では、「三空叩き込み」という表現で、「三空」なれば底入れ、またはいったん買い場としてよいとされています。
一方、「三空」が予想以上の大相場に展開する場合があり、あくまでも短期的な見方としての割り切りが必要です。
アイランドリバーサル
アイランドとは島。アイランドリバーサルは、パターンの開始直前と終了直後に同じ価格帯で「窓」が形成され、両側に「窓」を開けた状態をいいます。前後のトレンドと切り離されて島のように見えるからです。パターンの前後でトレンドが逆転するので「アイランドリバーサル」といいます。
パターンは2つあります。上昇トレンドが続いて「窓」を開けて上放れ、数日かけてローソク足が数本並び、最初の「窓」と同じ水準で「窓」を開けて下放れ、下降トレンドに入る天井パターンです。
一方、下降トレンドが続いて「窓」を開けて下放れ、数日かけてローソク足が数本並び、最初の「窓」と同じ水準で「窓」を開けて上放れ、上昇トレンドに入る底値パターンです。
出来高はパターン前後の「窓」を開けるときに増加し、それから減少傾向になることが多いとされています。