NZ準備銀行(RBNZ)は予想通りの25bp利下げを行い、金利先安の可能性も示唆しました。NZドルは急落しており、「NZドル安容認」姿勢や複数回の利下げ見通しを背景に今後も上値が抑えられやすそうです。
NZ金利に引き下げ余地、NZドル急落
RBNZは20日、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を市場予想通り3.25%から25bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)引き下げ、3.00%にすることを決定しました。
金融政策声明で利下げが4(0.25%利下げ)対2(0.50%利下げ)で意見が割れての決定だったことや、「中期的なインフレ圧力が予想通りに緩和し続ければ金利をさらに引き下げる余地がある」などハト派色が強い見解が示されたことでNZドルは売られました。
NZドルは対ドルで0.58ドル後半から0.58ドル前半へ急落(図表参照)、対円でも86円後半から86円付近へ下振れました。声明で、金利見通しについて「今後2回の0.25%の利下げがあることを示唆」などの内容も伝わっています。
RBNZ「NZドル安容認」
また、ホークスビーRBNZ総裁は会合後の会見で「NZドルの下落に満足」と、「NZドル安容認」姿勢を明らかにしました。その上で「250bpを超える金融緩和は成長を支える(※OCRは昨年8月の5.50%から3.00%まで引き下げられてきた)」「第2四半期の経済活動は予想よりもかなり弱い」などと述べています。
同総裁は先述した金利引き下げ判断が0.25%と0.50%利下げの4対2で別れた結果について、「(このような投票内容は)初めて」とも述べていました。金融マーケット参加者の間には前回会合に引き続き据え置きを予想する声も一部にあったところでのこの結果は、ハト派な印象を強める投票内容といえます。
ハト派的な金融政策がインフレに与える影響も気になるところですが、「財政見通しでは政府支出が減少し、インフレ抑制に寄与すると予測」としています。インフレは適度に抑えられ、ハト派的な金融政策運営を支援するとの見方のようです。
確かに翻って考えてみれば、今月発表のインフレ指標や雇用指数の結果を受けて25bpの利下げまでは妥当といえました。4-6月期の消費者物価指数(CPI)は前年比で+2.7%と、基礎的な物価圧力が弱いことを示していました。
同期の雇用指標も失業率が5.2%となり5年ぶりの高水準を記録。労働力参加率が70.7%から70.5%へと低下するなど、労働市場の弱さを示す結果となっていました。
ホークスビー総裁が「NZドル安容認」姿勢を示したことや、「あと2回の0.25%利下げとの見方が広がっている」(シンクタンク系エコノミスト)状況がNZドルの行方を左右しそうです。米早期利下げ観測の台頭は対ドルでのNZドル売りを落ち着かせる一因になるかもしれませんが、「当面NZドルは上値が抑えられる可能性が高い」(同)との見通しを念頭に置いて臨むべきでしょう。