気になるテーマ解説

ユニークなETF(上場投資信託) グローバルX編

ETF(上場投資信託)が一般的な投資商品となって長いですが、日本で特に人気なのはブルベア型ETF。売買が多いのはNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570>とNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信<1357>の2つです。


レバレッジ型は日経平均が上昇(下落)した際に2倍上昇(2倍下落)、ダブルインバース型は日経平均が下落(上昇)した際に2倍上昇(2倍下落)することをめざすETFとなります。指数の売買となると基本的には先物取引となりますが、こちらはハイリスクかつ資金力が必要なのがネックなところ。


一方で、ETFは先物取引・信用取引でなくともレバレッジを利かせることができ、現物取引で疑似的な指数先物取引ができる利便性、1口数万円といった買いやすさからデイトレーダーにも絶大な人気があります。


ちなみにETFが日本で初めて運用開始となったのは1995年。ただし日経平均やTOPIXといった代表的な指数に連動するものではなく、日経株価指数300といったマイナーな指数が対象でした。日経株価指数300は今も現存する指数です。


日本では長らく指数連動型のETFのみでしたが、2023年に初のアクティブ運用型ETFが誕生するなど、徐々に裾野を広げています。今回はメジャーな株価指数だけではないユニークなETFをフォーカスし、特に「Global X Japan」が提供する商品についてみていこうと思います。


グローバルX 超短期米国債 ETF

最初に取り上げるのは「グローバルX 超短期米国債 ETF(銘柄コード:133A)」です。ETF名のとおり、投資対象は残存期間が1カ月から3カ月の米国債。債券は例えば100で発行されたものが満期時に100で償還されるため、満期に近づくほど100に収束する性質があります。


残り期間がわずかであれば債券価格は100に近い水準で小動きとなるので、それに投資する同ETFも債券要因での値動きが非常に小さいものとなります。価格を大きく上下させる要因は為替(ドル円)のため、ETF版ドル預金のような商品といえます。



 

※弊社作成 2024年1月31日~25年8月20日


8月19日時点の公開情報では、分配金の12カ月利回りは4.62%。2カ月に1回のペースで分配金を支払うため、0.77%を年に6回受け取ることができる計算です。運用管理費用は年率0.1%弱と低く、NISA成長投資枠の対象商品でもあります。


株式ほどの変動リスクは取りたくないけれど、それなりの利回りを狙いたい!といった人にとっては魅力的な商品といえます。ただ、米国の金利が下がるとETFの利回りも低下することが考えられますし、円高が進むとマイナス影響が出ます。その時の金利や為替状況も踏まえて検討したいところですね。


グローバルX ウラニウムビジネス ETF

二つ目は「グローバルX ウラニウムビジネス ETF(銘柄コード:224A)」です。こちらもETF名のとおり世界のウラン関連企業への投資するということで、昨今で注目が強まっている原子力発電に関連するテーマとなります。


同ETFは「Solactive Global Uranium & Nuclear Components Total Return Index」といったウランや原子力関連の企業で構成された指数(円換算)と連動するような動きをめざす商品です。SOLACTIVE 社のホームページを確認すると構成銘柄を確認することができ、現時点で49銘柄が組み込まれていることが分かりました。


<組み入れ比率上位5社>

 出所:SOLACTIVE 公開情報を基に弊社作成


組み入れ上位はウラン開発会社が占め、オーストラリアの上場企業が多いですね。ちなみに日本の上場企業も含まれており、伊藤忠商事、三菱重工業が掲載されていました。


日本の上場企業でウラン・原子力関連となると、原発部材を手掛けるメーカーや電力会社しかありません。ウラン取引を行っている総合商社も関連銘柄と言えますが、ウラン自体を主力とする会社は国内上場企業の中では見つけられませんでした。


AI普及などによる電力需要を確保するために、クリーンエネルギーとされる原子力発電所の注目度が高まっています。海外では新型炉を新設するといった動きもみられるなか、燃料となるウランに関連する企業に幅広く投資できる面白いETFといえますね。運用費用は0.7%程度なので、ETFの中ではややコストが高めです。


グローバルXってどんな会社?

そもそもグローバルXとはどのような会社なのか、馴染みがない人もいると思います。グローバルXは米国に本社を置くETF専門の運用会社で、幅広いタイプのETFを取り扱うことで知られています。


米国ではアクティブ運用型、テーマ型のETFなどがすでに広く浸透しているので、日本にもその波がやってきたというところですね。今回取り上げたETFを提供しているGlobal X JapanはグローバルX、大和アセットマネジメント、大和証券グループ本社の合弁会社であり、日本では唯一のETF専門資産運用会社となります。ETF市場が一段と広がりを見せるか今後に要注目です。


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ユニークなETF(上場投資信託) グローバルX編
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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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