【初心者向け】金や不動産だけじゃない?現物投資の種類とメリット・デメリットを解説

「投資を始めたいけど、株やFXはなんだか怖い…」

「インフレでお金の価値が下がるって聞くけど、どう対策したらいいの?」

「手元に形として残るものに投資したいな…」


このように考えて現物投資に興味を持つ方が増えているようです。金や不動産、ワイン、腕時計といった実物に投資する方法は、株式や投資信託といった金融商品への投資とは少し違った魅力と特徴があります。


しかし、具体的にどんな種類があるか詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、現物投資に関心を持ち始めたあなたに向けて、


・現物投資のキホン

・現物投資のメリットとデメリット

・代表的な現物投資の種類とその特徴


などを、分かりやすく解説していきます。ぜひ、現物投資を始めるときの参考にしてみてください。


そもそも「現物投資」って何?キホンを押さえよう

まず「現物投資」がどんなものか、基本的なところから確認しましょう。現物投資とは「形のあるモノ」を購入し、その価値の上昇や保有することで得られる利益を得る投資方法です。


土地や建物(不動産)、金やプラチナ(貴金属)など、モノを購入するから現物投資と考えると分かりやすいですね。


一方で、株や債券、投資信託といった金融投資は証券や電子データといった「権利」に投資するもので形がありません。別名として「ペーパーアセット(紙の資産)」と呼ばれることもあります。現物投資は、これらとは対照的に、実際に手に取れるモノに価値があるのが大きな違いです。


現物投資のメリットとデメリット

現物投資には、金融投資にはない魅力と知っておくべき注意点があります。それぞれ見ていきましょう。


現物投資のメリット

現物投資の大きな魅力は、インフレに強い傾向があることです。物価が上がってもモノ自体の価値は下がりにくく、資産価値を守りやすくなります。


また、土地や金などモノとして存在するため、価値がゼロになりにくい安心感も得やすいでしょう。さらに、株価など金融市場の動きとは異なる要因で価格が変動するケースが多いため、資産全体のリスクを分散させる効果も期待できます。


不動産投資のように、ローンを利用して自己資金以上の投資(レバレッジ)を行い、高い収益を目指せる場合もあります。他にも、ワインやアートなどを購入すれば、趣味と実益を兼ねて楽しみながら投資できる点も魅力と言えるでしょう。


現物投資のデメリット

現物投資を始めるうえで最大のデメリットは、株のようにすぐに売買できず現金化に時間がかかることです。すぐに現金が必要なタイミングで資産を売却できないのは、非常に不便に感じられるため余剰資金で投資するのが基本です。


また、不動産の税金や修繕費、貴金属にかかる保管料など保有するだけでコストがかかるモノがある点も忘れてはいけません。他にも、不動産や一部のアートなどは初期投資額が大きくなりがちで、誰でも気軽に始められるわけではありません。


適正価格かどうかの判断が難しく、専門知識や目利きが必要とされる分野も多いです。なお、不動産なら災害リスク、貴金属やアートなら盗難や偽物といった現物ならではのリスクも存在します。


これらのデメリットを理解したうえで、慎重に取り組む必要があります。



どんな種類があるの? 代表的な現物投資

現物投資には様々な種類がありますが、こちらでは代表的なものをいくつかご紹介します。


不動産投資

現物投資のなかでもっとも代表的な投資先が不動産です。マンションやアパート、戸建て、土地、駐車場などを購入し、家賃収入(インカムゲイン)や売却益(キャピタルゲイン)を狙う投資手法です。


安定した家賃収入やローンを活用したレバレッジ効果が魅力ですが、空室リスクや維持コスト、災害リスクなども伴います。新築より中古物件のほうがリスクとリターンのバランスが良いとされる考え方もありますが、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。


貴金属投資(金、プラチナなど)

金地金(インゴット)、金貨、プラチナなどを購入して価値の上昇を期待するのが貴金属投資です。ゴールドは世界的にみても安全資産として知られ、インフレや経済不安時に強いのが特徴です。


ただし、株式と違って利息や配当は生まれず、価格変動リスクや保管・盗難リスクへの対策が必要です。最近では少額から始められる「純金積立」といった方法も、個人投資家から人気を集めています。


アンティーク・美術品投資

絵画、骨董品、陶磁器、アンティーク家具などを購入し、希少価値や芸術的価値の上昇を期待する投資です。


美術品は大きな値上がり益を得られる可能性がありますが、専門知識や目利きが不可欠で、偽物リスクや流動性の低さが大きな課題として挙げられます。また、美術品に価値を感じるなら、趣味の一環として所有できる点もメリットです。


ただし、保管・メンテナンスにもコストがかかるため、信頼できる専門家やギャラリーを通じて取引するのが重要です。


その他(ワイン、腕時計、太陽光発電など)

ワインや腕時計は、希少な銘柄や人気モデルは、熱心なコレクターが多くいると価値が上がる可能性もあります。趣味性は高いですが、適切な保管方法や流行、真贋の見極めが重要です。短期的な値上がりよりも長期保有が基本です。


その他にも、太陽光発電もFIT制度によりかつては安定収入が期待されましたが、買取価格低下などにより状況は変化しています。FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定の価格で一定期間買い取る制度のことです。


購入時にローンを活用できるメリットはありますが、災害リスクやメンテナンス費用、将来の売電価格の不確実性を考慮する必要があります。ローンを利用せず現金で購入する場合、初期投資に対する利回りは低くなりやすく、投資回収に時間がかかる傾向があります。



まとめ

現物投資は不動産や金、アートなど実際に形のあるモノに投資する方法です。


インフレに強く、実物がある安心感が得られるなどのメリットがあります。しかし、現金化しにくい点や、適切な価値判断や売買のために専門知識が必要となる場合がある点など、注意点もあります。


現物投資にはいくつか種類がありますが、それぞれの特徴とリスクをよく理解し、ご自身の目的やリスク許容度に合ったものを選ぶのが重要です。


「貯蓄から投資へ」の流れが注目される今、株式や投資信託といった金融投資だけでなく、選択肢の一つとして現物投資を検討してみるのも良いかもしれません。


独立系ファイナンシャルプランナー

藤崎 竜也

「独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。2019年から教育資金や老後資金を蓄えるために投資を始める。実体験をもとに、専門用語をわかりやすく解説するのが得意。2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得し、現在は金融ジャンル(資産運用・投資・不動産・保険)をメインに執筆している。

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