井村ファンド 4月の月次レポートを公表 大量保有報告も

運用会社のfundnote(東京都港区)は5月13日、著名個人投資家の井村俊哉氏が投資助言を行う公募投資信託「匠(たくみ)のファンド kaihou(かいほう)」の4月分月次レポートを公開しました。


「匠のファンド kaihou」は、市場では正式な名称とは別に「井村ファンド」とも呼ばれており、注目度の高い投資信託の一つですが、4月の関税ショックでは基準価額が開始時の1万円を割り込む場面もあるなど、地合いの影響を強く受けていました。


パフォーマンスを含め、4月にどのような変化があったのか注目される最新の月次レポートですが、4月30日時点での基準価額は10632円と前月比で110円のプラス。月初の急落分を回復し、設定来で6.3%のプラスと以前のパフォーマンスを取り戻しています。


3月末時点では基準価額10522円。設定来5.2%のプラスでしたから、4月の急落を乗り越えてしっかりと資産を増やしたことになります。


井村ファンドといえば、直近では、5月9日受付分の大量保有報告書(5%ルール)で川田テクノロジーズ<3443.T>の保有が明らかになったことでも話題となりました。保有割合は同社発行済み株式の5.94%となっています。


4月末時点の組入上位10銘柄


同銘柄について、月次レポートを過去分も含めて読み返してみると、2月時点で組み入れ上位5位に金属製品で「極めて低いマルチプルと、IRや資本効率の改善余地が大きく、エンゲージメントαが大きいと判断」というコメントが掲載されています。


3月時点ではおそらく同一と思われる金属製品セクターの銘柄が組み入れ3位に浮上。4月は同2位となっており、これが川田テクノロジーズであると思われます。大量保有が明らかになってから同銘柄は株価が上昇しており、これもファンドのパフォーマンスに寄与していることでしょう。


組み入れ上位10銘柄については、3月末では組み入れ1位だった銀行の比率が低下し、2位と3位だった情報通信ならびに金属製品がそれぞれ1つずつ順位を上げています。繰り返しになりますが、この金属製品がおそらく川田テクノロジーと思われます。


また、3月の時点で大量保有が明らかになっていた大末建設<1814.T>は3月末時点では組み入れ5位から、4月末時点で6位となっています。3月末時点で6位だった卸売セクターの銘柄が4月末時点に3位となったことが影響していそうです。


純資産総額については、申し込み再開から資金が増え続けており、1月末の101億円から2月末には137億円、3月末には193億円にまで増加。そして4月末は271億円となっています


ちなみに月次レポートとは別に日次で公開されているパフォーマンスを見ると、5月14日時点では基準価額10928円までさらに上昇しています。4月から5月中旬にかけてはTOPIXが最大13連騰するなど地合いも良かったことから、ある意味では当然と見る向きもあるでしょうが、それでも関税ショックを経て4カ月半で9%超プラスというパフォーマンスはなかなかのものではないでしょうか。来月のレポートも楽しみです。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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