ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析

ファンダメンタルズ分析とは?

ファンダメンタル分析とは経済の基礎的条件をもとに分析する手法です。景気動向や金融・財政政策などが金融市場にどのような影響を及ぼすか。


例えば、日本経済だけではなく、日本経済に大きく影響を及ぼすアメリカや中国など大国の経済を分析するとき、GDP(国内総生産)成長率、消費動向、物価上昇率、鉱工業生産などを調べます。


一方、企業の「財務指標」や「業績動向」などをもとに、企業の本質的価値を分析するのも、ファンダメンタルズ分析です。本質的価値よりも現在の株価が割安であれば投資の対象となるでしょう。


 ファンダメンタルズ分析で一般的によく使われる指標には、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)などがあります。


そのほか、企業の業界内における市場シェアや事業の将来性、経営者の考え方などもその企業に投資するかどうかの決定要因となります。


テクニカル分析とは?

テクニカル分析とは金融商品の過去の値動きのパターンから、将来の価格推移を予想・分析しようとするものです。


景気動向・金融政策の動向、企業の「財務指標」や「業績動向」に関わらず、過去に市場で取引されてきた価格変化をもとに、現在の株価が売られ過ぎなのか買われ過ぎなのかなどを判断し、そこから将来の価格推移を予想しようとする手法です。


企業の本質的価値に関わらず、過去の株価の上昇・下落の値動きの「リズム」や「トレンド」のみに着目し、株式投資のタイミングを決定することに使われます。



株式投資は「内容の良い」銘柄を選んでさえいればよいのか?

ファンダメンタル分析は個別銘柄の良否を把握する、投資する銘柄を決定するのに有効です。たくさんある銘柄の中から「財務指標」、「業績動向」、「成長性」などを考慮し、投資する上でいちばん内容が良い銘柄を選択することが多いでしょう。


例えば、スポーツカーでレースに出場すると考えて下さい。いろんな性能の車がたくさんある場合、レースに勝つためには性能(内容)がいちばん良い車を選択すると思います。


一方、どんなに良い銘柄でも高値掴みでは利益は出ません。買われ過ぎの時点で投資すれば利益は薄まります。押し目と思って投資しても、下落が続けば損失になります。


そこで、テクニカル分析が大きな役割を果たします。


「良いタイミング」だけでもダメ

テクニカル分析による株式投資の良いタイミングの判断は、選んだ良い車を運転する技術とよく似ているといえるかもしれません。


性能がいちばん良い車を選んでも、その車のハンドル操作、加速・減速などを上手くこなせる運転技術がないと良い車の性能を生かしきれないからです。良い銘柄でも投資タイミングを間違えると、投資家によって優良株ではなくなってしまいます。


逆に、いくら運転技術に優れていても、性能が悪い車ではレースに勝てません。株式投資も同じで、いくらよいタイミングで投資しても、業績や財務が不安定な銘柄は急落リスクが突然現れることもあります。


株式投資には両者の分析が不可欠

つまり、片方の分析や知識だけでは、「内容の悪い」銘柄に「良いタイミング」で投資する、また「内容の良い」銘柄に「悪いタイミング」で投資するになってしまいがちで、投資成績を継続的に上げることはできません。


ファンダメンタル分析とテクニカル分析の両者の分析を組み合わせることが、「内容の良い」銘柄に「良いタイミング」で投資するためには必要不可欠といえます。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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