複数の証券会社で株主優待は1つ!2倍、3倍もらう方法とは

「複数の証券会社で同一銘柄を保有し、株主優待を受け取ると2倍、3倍になるのでは?」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。


株式を発行している企業は証券保管振替機構(通称ほふり)に名寄せを行い、複数の証券会社の口座にある同一銘柄を同一人の口座として取り扱いますので株主優待は「1人1つ」となります。


家族の証券会社口座を利用して株主優待を複数もらえるという方法もありますが、企業にデメリットが生じてしまう恐れがあります。

今回は複数の証券会社で同一銘柄の株主優待はどうなるのか、2倍もらえる方法、複数の証券会社口座を持つメリット・デメリットを解説していきます。


複数の証券会社で同一銘柄を保有しても、株主優待は1つだけ

複数の証券会社の口座で同一の銘柄を保有していても、株主優待は1つにまとめられます。

株式を発行している企業が証券保管振替機構(通称ほふり)に名寄せを行い、確認しています。


名寄せとは、証券会社の口座開設をした者が複数の口座を開設している場合に、氏名(名称)、住所などの情報や番号に基づき、同一人と判定された際に同一人の口座として取り扱うことです。

複数の証券会社の口座にある同一銘柄は「同一人の口座」として取り扱われ、例えばA社の株をB証券会社に100株、C証券会社に100株を保有しているDさんは「1人で200株を保有している」とみなされます。株主優待も1人に贈呈されることになります。


株主優待を2倍、3倍にする方法とは

「株主優待を2倍、3倍もらいたい」という投資家は多いのではないでしょうか。

推奨できる方法ではありませんが、家族に口座を開設してもらい一定の株式を買い付け・保有すると株主優待が2倍になります。

家族が多い世帯では3倍、4倍になるチャンスと言えるでしょう。


しかし、上記の方法では「家族の代わりに投資をしている」ため国民の金融リテラシー向上を図る昨今の政府の施策とはかい離が生じます。

また企業にとっても優待=株主還元が多くなると、設備投資など将来の利益を生む資金がなくなってしまい長期的に見るとプラスとは言えない状況になってしまいます。

ただし同一人が複数の証券会社に口座を持つことで、さまざまなメリットが生まれます。



複数の証券会社の口座を持つメリット


臨時のメンテナンスに対応できる

証券会社が破綻し、分別管理がされていない場合のリスクを軽減できる

多くの証券会社のキャンペーンに応募できる



1.臨時のメンテナンスに対応できる

ネットで取引をする場合、証券会社がメンテナンスを行っている期間は注文ができないことがあります。定期的なメンテナンスであれば日時を把握し回避できますが、臨時のメンテナンスでは「今この株を買いたかったのに」という機会損失が生じてしまう恐れがあります。

しかし、複数の証券会社の口座を持っていると別の証券会社の口座で発注が可能になり機会損失を回避できるでしょう。


2.証券会社が破綻し、分別管理がされていない場合のリスクを軽減できる

証券会社には、顧客の資産と会社の資産を分別して管理する「分別管理」が義務づけられています。証券会社が破綻してしまった際に、顧客の財産は分別管理がされていれば全額保護されます。

しかし、破綻した証券会社で分別管理がされておらず財産が使い込まれてしまう可能性はゼロではありません。こういった事態に備え法律により投資者保護基金制度が設けられています。万が一の場合に、1人あたり1000万円まで補償を受けることが可能です。

1つの証券会社に1000万円超の財産があり、破綻した際に分別管理がされていないと損失を被ってしまいますが複数の口座に資産を分けているとリスクが軽減されます。


3.多くの証券会社のキャンペーンに応募できる

複数の証券会社の口座を開設することで、さまざまな証券会社が行うキャンペーンやプレゼント企画などに応募することができます。

証券会社と連携している銀行口座を同時に開設すると預金の金利が優遇される、ポイントがもらえる、指定のクレジットカードを作るとポイント還元率が高くなるといったメリットもあります。



複数の証券会社の口座を持つデメリット


相続時の手続きが煩雑になる

資産管理が難しくなる可能性が



1.相続時の手続きが煩雑になる

銀行や証券会社の口座、クレジットカードをたくさん持っていると、相続時に相続人の手続きが多くなり負担が大きくなってしまうことがあります。

例えば「65歳までに証券会社口座は2つまでにする」など、自身であらかじめ計画を立てておきましょう。

また金融機関の口座・クレジットカードの情報は、エンディングノートに記載しておくことをおすすめします。


2.資産管理が難しくなる可能性が

複数の証券会社に資産を分散させると、ポートフォリオのバランスが崩れる、配分が分からなくなるなどの事態が起こり、資産の管理が難しくなってしまう可能性があります。

データを連携できるソフトを導入する、自身でExcelファイルにまとめておくなどの対策を講じましょう。


まとめ

複数の証券会社の口座を保有していても、株主優待は「1人1つ」です。

ただし、証券会社の口座を複数開設しておくことでメンテナンスに対応できる、万が一のリスクを軽減できるなどのメリットがあります。


ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

CFP(R) 認定者。日本FP協会会員。 会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

田中 あさみの別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております