「会社員を辞めてフリーランスになりたい」
「まずは副業から自分の力を試してみたい」
「もっと自由に自分らしく働けるようになりたい」
働き方が多様化する現代、会社に所属するだけでなくフリーランスとして独立したり副業を始めたりする方が増えています。自分のスキルや経験を活かして、時間や場所にとらわれない働き方に憧れを抱く方も多いのではないでしょうか。
しかし、その一方で「独立して本当に生活できるのかな…」「会社員と比べて何が違うんだろう?」「お金の管理や手続きとか難しそう…」といった不安もつきものです。実際に筆者が独立するタイミングで、お金の手続きで何をすればいいか困りました。
本記事では、これからフリーランスや副業といった新しい働き方へシフトしようと考えている方に向けて、独立前に知っておきたいお金の管理や必要な手続きについて解説していきます。後悔しないための準備をしっかりして、スムーズなスタートを切りましょう!
会社員とフリーランス・副業はここが違う!お金と手続きのポイント
会社員とフリーランス・副業では、お金の入り方や出ていくお金の種類、そして社会保険や税金の手続きなどが大きく変わります。具体的にどんな違いがあるのか、見ていきましょう。
収入:毎月の給料から成果報酬へ
会社員として働いている間は、毎月決まった日に固定給が銀行口座に振り込まれるのが一般的です。フリーランスや副業に転身すると、この収入の得方が大きく変わります。
基本的には、仕事の成果やクライアントとの契約内容に応じて報酬を得る形になるのです。これは、自分の実力や努力次第で収入を大きく伸ばせる可能性がある反面、仕事の状況によっては収入が不安定になるリスクも伴います。
ただし、フリーランスであっても、プロジェクト単位ではなく月額固定で報酬を得るような契約形態も存在します。「毎月の安定した収入」と「成果に応じた上限のない収入」を比べて、どちらの働き方が自分のライフスタイルや価値観に合っているのかじっくり考えることが大切です。

税金と社会保険:給与天引きから自己管理・全額負担へ
会社員時代は所得税や住民税の他に、健康保険・厚生年金・雇用保険といった社会保険料の多くが給料から自動的に天引きされ、会社が手続きを代行していました。そのため、あまり税金の支払いを意識せずに済んでいた方も多いかもしれません。しかし、フリーランスになると、保険料の管理や支払いを全て自分自身で行う必要が出てきます。
まず所得税や住民税は、会社員の場合は源泉徴収という形で給料から前払いのように納めています。フリーランスになると1年間の所得を自分で計算し、翌年に確定申告という手続きを経て自分で納税しなければいけません。
つまり後払いになるため、1年間の収入から納税分を計画的に取り分けておかないと、いざ納税の時期になって資金が足りなくなるという事態も起こり得る点に注意が必要です。
さらに、年間の売上が1,000万円を超える場合やインボイス制度に事業者として登録した場合には、消費税の申告と納税の義務も発生します。
次に社会保険ですが、会社員と比べて大きな変更があります。健康保険は、会社員なら会社の健康保険組合などに加入し、保険料は会社と折半で負担しているのです。しかし、フリーランスになると原則として国民健康保険に切り替わるため、保険料は全額自己負担となり支払額は多くなる傾向です。
また、老後の収入源になる年金も国民年金のみの加入になる点は押さえておきましょう。一般的に会社員時代に加入している厚生年金の方が将来受け取れる年金額は多くなるため、この差をどう補うかが重要です。iDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金といった私的年金制度への任意加入を検討することも視野に入れましょう。
そして、労災保険や雇用保険については、フリーランスは原則として加入対象外となります。つまり、仕事中のケガや病気で働けなくなった場合の収入保障や仕事がなくなった場合の失業給付などは基本的に受けられません。したがって、民間の所得補償保険に加入したり十分な貯蓄を準備したりといった自己防衛策が必要になります。
フリーランスになると税金や社会保険の手続きは全て自己責任となり、金銭的な負担も会社員時代より増える可能性があることを、しっかりと理解しておく必要があります。

独立前に絶対やるべきお金と手続き準備:3つのポイント
「フリーランスになるって意外と大変そう…」と感じたかもしれません。しかし、事前にしっかりと準備をしておけば、スムーズに新しい働き方をスタートできます。ここでは、独立前にやっておくべきお金と手続きに関する特に重要な準備を3つご紹介します。
最初に、仕事専用の銀行口座とクレジットカードを会社員のうちに作っておくことです。フリーランスになると、会社員時代に比べて社会的信用度が低く見られがちで審査に通りにくくなるケースがあります。事業用とプライベート用のお金の出入り口を分けておくことは、後の確定申告時の経費計算などを楽にしてくれるのです。
次に、会社から独立する場合には、国民年金と国民健康保険への切り替え手続きを行わなければいけません。この手続きを忘れると保険の未加入期間ができてしまい、将来受け取れる年金額が減ったり、病気やケガをした際の医療費負担が大きくなったりする可能性があります。退職後は忘れずに市区町村の役所で手続きを行いましょう。
そして3つ目は、フリーランスとして活動していく上で必須となるお金と税金の基本知識をしっかりと身につけておくことです。会社員時代は、会社がほとんどの手続きを代行してくれるからです。
しかし、独立すると確定申告の仕組みや経費として認められる範囲、効果的な節税方法、社会保険料の計算の仕方など全て自分で理解して対応しなければなりません。書籍を読んだり関連セミナーに参加したりして、金融リテラシーを高めておくことが安心して独立するための一歩となります。
会社員時代の準備が自由な働き方を実現する
会社員からフリーランスや副業ワーカーへ。新しい働き方への挑戦は自由な時間をもたらしてくれる一方で、お金の管理や手続きなど自分で責任を持たなければならないことも増えます。
税金や社会保険の仕組みは会社員時代と大きく変わるため、事前の理解と準備が不可欠です。「知らなかった」では済まされないこともあります。
今回ご紹介したお金の管理術や手続きのポイントを参考に、今のうちにしっかりと準備を進めましょう。
今のうちにしっかり準備を行うことで、お金の不安を減らして、あなたが思い描く自由で充実したワーキングライフを実現できます。



