リスクを抑えたい人は知っておきたい「長期・積立・分散投資」

最近のインフレ傾向は、預貯金だけに預けている人には、厳しい状況です。1年前に預けた定期預金の満期金では、わずかな利息では1年前と同じものを買うことができないほど、物価が上昇しています。

 

これでは、モノやサービスに対してお金が目減りしています。お金が物価に負けないようにするには、ある程度の投資は必要だといえるでしょう。

 

「長期・積立・分散投資」を知らない人が6割

 

「インフレに備えて投資を」といわれても、株式や投信の価値が過激に上がったり下がったりしていては気が気ではありません。なるべくリスクを抑えた方法で投資をしたいと思うのは当然のことです。

 

リスクを抑える方法としてよく言われているのは、「長期・積立・分散投資」です。損失の可能性を完全には排除できませんが、投資対象を複数に分けて長い期間積み立てをすれば、経済成長に伴って投資資金も増えていく、と考えられています。

 

しかし、「長期・積立・分散投資」の考え方は、いま一つ浸透していないようです。

 

日本証券業協会の調査では、『「長期投資」・「積立投資」・「分散投資」がリスクを減らすのに有効ということを知っているか』を尋ねたところ、知らない人が約6割でした(グラフ)。


 

 

良い時悪い時、波があるから「長期投資」

 

「長期投資」といっても、何年も長い間、ずっと売却せずに置いておきましょうということではありません。急な値動きは、一時的な場合もあります。市場では、価格が下がり過ぎたり上がり過ぎたりした場合でも、いずれ価値に見合う適正な価格に落ち着きます。

 

適正な価格とは、経済や業績などの成長に見合う値。投資対象の成長に期待し、短期的な値動きに翻弄されずに、長い目で見て運用することが「長期投資」です。

 

ただし、長年投資を続けなければいけない、というわけではありません。長期間投資を続ける前提でも、途中で換金しても構いません。目先の動きに一喜一憂せず、ゆったり構えることを「長期投資」と表現しているのです。

 

ムリなく少しずつ「積立投資」

 

株式や投信は、「買うなら安い時がいい」と思うでしょう。けれど「安い時」がいつかは分かりません。今日が昨日より安くても、明日さらに下がれば、今日が安い日ではなくなります。狙って安く買うことはできません。

 

安い時を狙って一度に買うのは、イチかバチかの取引です。いつが安いかは分からないので、買うタイミングを小分けにします。これは「時間を分散する」考え方です。

 

また、リスクを小さく抑えるためには、損をしても少額で済む金額で投資するのがポイントです。小分けにして1回あたりの買付額を少額にすれば、値下がりした場合の損失額を抑えることができます。

 

この2点が、積立投資が良いとされるポイントです。

 

予測が難しいから「分散投資」

 

安いタイミングを見計らって買うのが難しいから時間を分散するのと同じように、将来、何が値上がりするかの予測も難しいので、投資対象も分散しましょう。

 

どんなに調べて良い投資対象を選んだとしても、投資に絶対はありません。経済環境が変われば、昨日まで「良い」と思われていたものでも急に評価が下がることがあります。パッとしないと思っていたものが、予想に反して市場で値打ちが上がる場合だってあります。

 

地域でいえば全世界、投資対象でいえば株式・債券・不動産・金取引などのコモディティのように、投資する先を分散させればリスクを抑える効果が働きます。

ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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