トランプ米大統領VSカナダ
米国とカナダは世界最大の貿易相手国であり、毎年大量の製品と人が国境を越えて流れています。2国間の国境は世界最長の非武装国境となっており、防衛圏内で重要な相互運用を行っています。
1987年のカナダ・米国自由貿易協定以来、2国間に交流する製品の大半に関税が掛かっていませんでした。このような大量の貿易関係があると、2国間の貿易に関する論争も多くありました。2017年にトランプ氏が米大統領に就任すると、貿易の不均衡是正を図るために各国に対し関税を強化するなどの手段を講じました。カナダも例外ではなく、北米自由貿易協定(NAFTA)が実質的に米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に切り替わる中で、カナダが受けてきた米国との自由貿易による恩恵の一部が失われました。
2025年に第2次トランプ政権が発足すると、カナダに対して雇用と製造業を守り、不法移民と麻薬(フェンタニル)の密輸を阻止するための対策を求め、対策如何では輸入品に25%の関税をかけることを示し、関税措置は2025年3月4日に発動しました。これに対して同日、カナダも報復関税を発動させ、両国の貿易摩擦が勃発しました。また、トランプ氏は「カナダがアメリカの51番目の州になる」という発言も繰り返し、カナダの国民からの反感を買っています。
一番の同盟国であるカナダにも容赦なく関税攻撃を仕掛けたことで、当初は加ドルが急落するなど懸念が高まったが、カナダの経済はトランプ関税の影響が限られたこともあり、徐々に値を戻しました。ただ、今も両国の不安定な関係は続いています。
トランプ関税圧力の加ドルへの影響は限定か
カナダのカーニー首相は1月中旬に中国を訪問し、両国関係の改善で合意しました。また、相互にかけ合ってきた高関税を引き下げることを確認しました。カナダの米国離れを模索する動きとも言えますが、これに対しトランプ米大統領はカナダが中国との貿易関係を強化すればすべてのカナダ産輸入品に100%関税を課すと警告しました。
トランプ関税をめぐる不確実性がこの先も加ドルの上値圧迫要因となりますが、大きな影響は避けられると見込んでいます。なぜなら両国間の貿易相互依存度があまりにも高いため妥協点を探る可能性が高いからです。
カナダの輸出の最大目的地は米国であり、輸入でも米国は3番目に多いです。昨年の両国間の商品・サービス貿易額は1兆ドルに近いです。主な貿易品目は自動車部品、機械類、農産物、木材、エネルギー資源であり、関税賦課は両国に負担となります。自動車生産に支障が生じて、電力・木材・建築材料・自動車などの価格が上がると予想されます。カナダも対米輸出急減によるGDPへの衝撃を避けがたいです。したがって両国ともに米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)再協議で主導権を握ろうとしながらも妥協点を模索する可能性が高いとみています。



