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新たな住宅購入補助金と住宅ローン減税

2025年も残すところあと1カ月となりました。毎年同じ時期に同じことを言っている気がしますが、1年が経つのはあっという間です。1年間を振り返る時期である一方、来年に向けた新しい話も出てきます。注目したい住宅関係の話もいくつか出てきたので、まとめてみました。



住宅ローン減税は延長へ

2025年に住宅を購入した人が適用期限となっていた住宅ローン減税が、5年間延長する方向で調整に入ったとの報道がありました。業界関係者の見方では、おそらく延長されるだろうとの意見が多かったためサプライズ感はありませんが、安心感につながるニュースです。


当初は10年間、ローン残高の1%を減税する制度でしたが、ローン金利よりも減税額が上回る逆ザヤの状態が問題視され、13年間、ローン残高の0.7%減税に見直された経緯があります。政府による支援策は要件がだんだんと厳しくなっていくのが恒例で、住宅性能も要件に組み込まれています。


今回は具体的にどのような見直しとなるのかは決まっていませんが、居住面積の最低条件を現状の「50平方メートル」から「40平方メートル」に引き下げること、中古住宅を購入した際の控除限度額引き上げなどが案として出ているようです。


<2025年までの住宅ローン減税の条件>


出所:国土交通省住宅局


そもそも好景気であれば需要を喚起する減税策は必要ありません。こういった背景があるためか、より経済効果の大きい新築住宅かつ高性能である場合は借入限度額が最大4500万円までとなります。一方、省エネ基準を満たさない既存住宅(中古住宅)は2000万円までしか対象にならないため、上限との差は倍以上になります。


住宅価格の高騰が続く中、新築に比べて安い中古住宅市場が注目されています。まだ住めるのに誰もいない空き家の増加も深刻な社会問題です。トータルで百万円単位の減税となる可能性がある住宅ローン減税の拡充は、中古市場の活性化を強く後押しします。中途半端な見直しにならないことを願いたいですね。



みらいエコ住宅2026事業

2025年度の補正予算で実施された「子育てグリーン住宅支援事業」では、最大160万円の補助金(GX志向型住宅)が出るということで金額だけ見れば過去最大級です。


それを目当て2025年は高い住宅性能の住宅に対する需要が高まりましたが、7月下旬に申請が殺到。一気に予算上限(500億円)に達してしまうなど予想外の事態も発生し、補助金最大額を受け取れなかったというケースが相次ぎました。

新築住宅の補助金事業はいまのところ毎年発表されており、その時々で「子育てエコホーム支援事業」「子育てグリーン住宅支援事業」など事業名、補助金額、要件などが変わります。


住宅ローン減税と同様に基本的に要件は毎回厳しくなる傾向にありますが、2026年度に実施される予定となった「みらいエコ住宅2026事業」では、今年の「子育てグリーン住宅支援事業」と住宅性能の条件がほぼ変わりません。


出所:環境省


ただ、GX志向型住宅については110万円(寒冷地は125万円)に、長期優良住宅は75万円(従来は80万円)、ZEH水準住宅は35万円(従来は40万円)に減額となりました。リフォームは上限100万円(従来は60万円)なので、こちらは拡充です。前述した住宅ローン減税と合わせて、より中古住宅に目線を向けた政策といえます。


なお、まだ概要が発表されたばかりなので決定事項ではありません。「子育てグリーン住宅支援事業」の時には、2月に事業の公式サイトが開設されるとともに「高度エネルギーマネジメントシステムによる制御(HEMS)」が要件として新たに追加。


当時はHEMSって何?から始まり、後出しじゃんけんの要件に対応できずGX志向型住宅の申請ができなかった施主もいたようで、SNS上に怨嗟の声があふれた時期もありました。HEMSとは、専用モニターやスマホによって家庭で使うエネルギーを可視化したり、制御したりするシステムのことです。


とはいえ、「子育てグリーン住宅支援事業」に間に合わなかった人も、建築スケジュールによっては「みらいエコ住宅2026事業」の補助金に申請することができます。マイホームを検討している人は、今後の発表を要チェックしておきたいところです。


当面は住宅支援が続きそう


日銀としては「日本の景気について一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」との見解です。ただ、実生活においてそのような実感を得られている人は限られ、多くの国民が物価高や実質賃金の伸び悩みに苦しんでいるのが実情でしょう。


マイホームに関する支援事業は、基本的に予算上限まで応募が来ます。裏を返せば、補助金があるならマイホームを検討しようという人が多いということでしょう。金利上昇による住宅ローン負担も相まって、補助金をやめてしまうと住宅購入を見送る人が一段と増加する恐れがあります。


マイホームは人生の中で一番高い買い物と言われるように、経済効果も大きいです。これが低迷するのは政府としても避けたいところでしょう。そういった事情から、手放しでも好景気入りが見込めるようになるまでは住宅支援の補助金は続くと思われます。ただ、国がやるから安心という保証もないので、情報収集はしっかりと行いたいですね。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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