日本最大級の外資系保険会社による「金銭詐取」が報じられ、大きな問題となっています。2026年1月28日、金融庁は当該保険会社に対して当初予定していた2月の予定を前倒し、保険業法に基づく立ち入り検査検査を実施したことがわかりました。調査結果と再発防止策を踏まえ、業務改善命令や業務停止命令などの処分が検討されるとみられています。
保険会社がもしものとき、「わたしたちの契約」はどうなるのか
生命保険には病気やケガを保障する医療保険と、死亡や重篤な障害などの際に家族が保険金を受け取る死亡保険があります。今回金融庁の立ち入り検査を受けたプルデンシャル生命保険は1991年から2025年のあいだ、503人の顧客に対し架空の投資話で金銭を詐取したり、金銭を借りて返さなかったりしていたと発表しました。不正に手を染めた職員は約107人、受領した総額は約31億4千万円に及びます。保険に限らず、金融業界として見ても前例のない悪質な不正行為です。
同時に同社と保険契約をしている契約者のなかには、自分の契約がいったいどうなってしまうのか懸念している人も多いでしょう。特定の保険会社の事例としてではなく、一般的な仕組みとして解説していきます。

責任準備金の90%が保障される
保険会社において経営の続行が不可能となると、「生命保険契約者保護機構」により一定の契約者保護が図られます。この保護機構には日本国内で事業を行うすべての生命保険会社が加入しており、破たんした生命保険会社の契約を引き継ぐ救済保険会社、あるいは承継保険会社に対して必要に応じた資金援助が行われます。つまり、破たんしたから既存の契約を遵守する原資がない、といった結末にはならないことがわかります。この点はまず一安心です。
この対応により契約は継続されますが、高利率契約を除き、責任準備金の90%までは原則保障されます。では責任準備金とは何でしょうか。
責任準備金とは?
責任準備金とは、保険会社が保険料を確実に支払うために、保険料のなかから積み立てるお金のことです。保険会社は預かった保険料全額を保険金の原資に充てるわけではありません。保険会社が事業を行う諸経費や、将来保険会社が受け取る予定の保険料収入も含まれます。責任準備金の金額は、この諸経費や収入を差し引いたものです。
責任準備金=解約返戻金ではない
責任準備金と混同されやすいものに、「解約返戻金」があります。解約返戻金は、生命保険契約を解約したときに、契約者に払い戻されるお金のことです。
解約返戻金は、責任準備金から保険会社のコストを差し引いたものです。多くの保険契約では、契約後3年経過したものは「責任準備金=解約返戻金」となります。3年経過することにより、保険会社のコストがゼロに近づくためです。
よって、万が一のことを考えると、少なくとも現在加入している契約の解約返戻金は保障されると考えて間違いはないでしょう。
そこで注意したいのは、最近「低解約返戻金型」が増えているということです。契約後10年15年以上にわたって、解約返戻金が抑えられている状況が続きます。一定時点から、右肩上がりの急カーブのように解約返戻金が上昇します。この上昇により、万が一の際の保障基準も上がっていくと考えられます。
ただ、どのような破たん事例の場合もこの通りにいくとは限りません。保険契約後しばらくは解約返戻金(=責任準備金)が低いことも踏まえ、加入する契約の保険会社の状況などを確認することが求められます。解約返戻金は保険契約時に受け取った書類のなかに、しっかりと記載されています。また保険契約のなかには、「現時点の責任準備金」が記載されている場合もあります。保険会社からの書類を再確認してみましょう。

保障内容は変わる可能性がある
責任準備金の移転のほかに、予定利率の引き下げなど契約条件の変更が行われる可能性もあります。保険会社が破たんしたあと「更生計画の認可」が行われます。このときに影響を受けるのが高予定利率契約(過去5年間で常に予定利率が基準利率を超えていた契約)です。

この基準からわかることは、いわゆる好条件の保険契約は必ずしも守られるわけではないという点です。かつ、万が一のときは戻ってくる保険金がどのような計算式で導かれたものか、契約者も分析をする必要があるといえるでしょう。このほかにも保険契約をもとに借入をしていた「契約者貸付」などは、都度計算されると考えてよさそうです。
「もしも」の保障をするのが生命保険の役割です。保障を担う保険会社自体に「もしものこと」があるとは、平時ならばまず考えが及ばないものでしょう。ただライフプランにおいていつ何があるかは、わかりません。わたしたちは保険によりもしもの備えを進めつつ、同じようにリスクヘッジを意識していく必要もあります。



