スマホ決済の日本最大手、東証素通りで米国市場に上場
スマートフォン決済大手のPayPay(PAYP)が3月12日に米ナスダック市場に上場しました。米国預託株式(ADS)を通じた上場で、公開数は5499万ADS。公開価格は仮条件(17.00-20.00ドル)を下回る16ドルです。米国とイスラエルがイランを攻撃した影響で株式市場では先行き不透明感が広がりましたが、上場初日の12日は公開価格を上回る18.16ドルで引け、13日は前日比16.4%高の21.14ドルに急騰しました。ただ、その後はイラン情勢に対する懸念と楽観姿勢が入り交じり、一進一退の展開となっていますが、一度も公開価格を割り込んでいません。
今回は「PayPayが米国上場(後編)」として、業績に加え、今後の展開などを見ていきたいと思います。
25年3月期に黒字転換、売上高と純利益がさらに拡大へ
PayPayは2018年に事業を始めてから短期間で急成長を遂げました。事実上の初年度に当たる2020年3月期に約1兆3000億円だった決済事業の総取引額(GMV)は5年後の2025年3月期には10倍超の15兆3900億円に急増しています。

売上高も右肩上がりで、採算も改善しています。2025年3月期決算は売上高が前年比17%増の2990億7800万円、純利益が361億7000万円(前年は33億5000万円の純損失)と通期決算で初めて黒字に転換しています。
売上高の内訳は決済部門の取引・サービス収入が18%増の1765億9700万円、銀行や証券会社を含む金融サービス部門の取引・サービス収入が9%増の269億9800万円と着実に伸びました。
一方、2025年4-12月期決算ではさらに業績拡大が顕著です。売上高は前年同期比26%増の2784億7800万円、純利益は3.8倍の1015億2100万円に急増しました。売上高の内訳は決済部門の取引・サービス収入が25%増の1632億5100万円、金融サービス部門の取引・サービス収入が9%増の220億7400万円でした。

課題は「PayPay経済圏」の拡充とグローバル展開
短い期間でスマホ決済の最大手となったPayPayは「PayPay経済圏」の強化を進めるとみられています。すでに利用者数が7200万人に上るスマホ決済を入口に多様なサービスやポイントで利用者を囲い込むのが狙いです。
現状では2025年3月期決算の実績が示すように取引・サービス収入に占める決済部門の割合が86.7%で、銀行や証券会社を含む金融サービス部門の比率は13.3%にすぎません。金融サービス部門の比率はここ数年にわたり低下していますが、明るい兆しも出ています。
それは銀行口座数の急速な増加です。子会社のPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の預金口座数は2025年6月末に約920万、9月末に約950万、12月末に970万と順調に増え、1000万口座突破は秒読み段階に入ったと推測できます。
PayPay証券の口座数は2025年6月末に約142万、9月末に約147万、12月末に154万とこちらも着実に伸びています。決済を入口に口座を開設したライトユーザーが多いとみられる中、今後はマネタイズが焦点になりそうです。

一方、日本での事業に集中してきたPayPayにとってグローバル展開も大きな課題ですが、その第一弾として2026年2月にクレジットカードのビザ(V)と提携すると発表しました。米国にPayPay主導の新会社を立ち上げ、ビザも資金や技術を提供する方向です。カリフォルニア州などの一部地域を視野に入れ、QRコード決済加盟店のネットワークの構築などを検討します。





