経団連は7月2日、大手企業の2026年夏季賞与(ボーナス)の1次集計結果を公表しました。これによると、平均妥結額は100万8706円となり、前年と比べて1.88%増額。比較可能な1981年以降で初めて100万円の大台を超えました。
業種別でみると、非鉄・金属が18.01%増と最も高く、電線などデータセンターに関連する企業の業績が好調だったことが反映されたものと思われます。逆に自動車は8.97%減と減少幅が最も大きく、米国の関税政策の影響を受けたとみられます。
そえにしてもボーナスが100万円超えという聞くと、「そんなにもらっている人がいるのか」とため息をつきたくなる人もいることでしょう。というのも、上記はあくまで、大企業を対象とした経団連の調査による数字。世の中の大半の人が中小企業に勤めていることを考えると、実体をあらわした数値とは言い難いかもしれません。
そうした点から言えば、帝国データバンクが6月に発表した「2026年夏季賞与の動向アンケート」のほうが実感しやすい数値かもしれません。同調査によると、正社員1人あたりの夏のボーナス平均支給額は「47.7万円」となりました。こちらも前年比で増額傾向にはあるものの、大企業の大台突破ニュースとは倍以上の開きが存在します。
2026年ボーナス平均支給額の比較
(経団連ならびに帝国データバンク公表数値よりDZHFR作成)

規模別:「今年ボーナスを増額した」企業の割合

グラフからわかるように、支給額そのものはもちろん、「ボーナスを増やせたかどうか」という勢いにおいても、企業の規模によって大きな差がついていることが分かります。
これほど大きな二極化が起きている背景には、現代の日本経済が抱える構造的な理由があります。1つは「価格転嫁力」の差です。原材料費やエネルギーコスト、物流費の高騰が続く中、大手企業は製品やサービスの価格にコストを上乗せしやすく、好業績を維持できています。しかし、下請けの立場が多い中小企業は値上げ交渉が難しく、コスト増を自社で吸収せざるを得ないなどの事例が見られます。結果として、ボーナスの原資を確保しにくい状況に陥るというわけです。
2つめは基本給そのものの差です。ボーナスの多くは「基本給の何カ月分」という式で算出されることが多いでしょう。もともとの基本給が高い大手企業では、同じ「月数」の支給であっても、金額の伸びが大きくなります。
経団連の調査も帝国データバンクの調査でもボーナスの額自体は増加傾向なのだからいいじゃないか、という意見もあろうかと思います。とはいえ、わたしたちはいま深刻な物価高に直面しています。食品、電気代、日用品など、あらゆる生活コストが上昇している現在、数万円程度のボーナス増額では「生活が楽になった」という実感に結びつきにくいのが本音でしょう。
また、企業側にとっても「今夏はボーナスを出すが、今後の景気変動や固定費化のリスクを考えると、基本給のベースアップや冬以降の支給には慎重にならざるを得ない」という防衛的なスタンスが残っています。
「ボーバス平均初の100万円超」というワードは確かにインパクトがありますが、日本経済の一部の景色に過ぎません。上を見れば、おとなり韓国では、ことし5月にサムスン電子では、AI関連の製品を手がける部署の賞与について6000万円になったと報じられました。



