特定の銘柄の値動きを追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は2023年5月に取り上げたNTTの値動きを振り返ります。
約1カ月半の期間では小幅な上昇
6月30日の終値は170.5円でした。25分割をする前、5月16日の終値4161円で買ったと仮定しているので、25倍すると4262.5円。約1カ月半では41万6100円が42万6250円となり、1万0150円のプラス(手数料・税金は考慮せず)、上昇率は2.4%となりました。
なお、5月16日の終値4161円は25で割ると166.44円となりますが、調整後の株価は166.4円となります。前回、167円の前提としましたが、166.4円に合わせておきます。170.5円と166.4円で計算した場合、上昇率は2.5%となります。あくまでシュミレーションですので、ここでは小幅な上昇であったと捉えていただければと思います。
分割権利取りの最終日に株価が急伸
この間の値動きをチャートで見てみましょう。なお、チャートは分割を考慮して株価を調整したものとなっています。
25分割を発表した後は、しばらく大きな動きがありませんでした。ただ、分割の権利を得ることができる最終日となる6月28日に、1日で5.2%高と大きく上昇しました。この日は日経平均株価が600円を超える大幅上昇となり、NTT以外にも6月に権利が取れる銘柄に駆け込み買いが入りましたが、それにしても目を見張る上昇となりました。
それまではさえない動きであった分、この日の上昇にはやや意外感もありました。ただ、25分割して買いやすくなった6月29日は、前日の大幅高を受けて高く始まったものの、急失速して大幅な下落となりました。この2営業日の値動きが目立ちましたが、期間全体では小幅な上昇にとどまりました。
大幅分割が悪影響・・・とは言えない
日経平均株価は5月から6月にかけて非常に強く、同じ期間(2023/5/16~6/30)では11.2%上昇しました。NTTは日本を代表する企業の一つですので、2%台の上昇というのは見劣りする動きです。
ただ、25分割が嫌われた理由かというと、そうではないかもしれません。同業のKDDI(9433)と通信会社の方のソフトバンク(9434)の同じ期間の値動きを見てみると、KDDIが0.9%安、ソフトバンクが1.0%高となっており、どちらもNTTのパフォーマンスを下回っています。そうなると、大幅な分割が株価に悪影響を与えたというよりは、この間の通信株が株高の流れに乗り切れなかったと解釈する方が妥当のように思われます。
分割により出来高は急増
以下の表は、6月26日から30日までのNTTの株価推移となります。分割後の6月29日以降は出来高が急増しています。6月29日は全市場で出来高が断トツのトップとなりました。今後も高水準の出来高は継続していくと予想されます。
年末に向けて人気を高めることができるか?
ここから約半年、12月29日までの値動きについてもウォッチしていきます。
分割直前・直後で派手な動きがありましたが、6月30日以降の株価は170円近辺で落ち着きつつあります。1万円台から買えるようにはなりましたが、あまり動きがなかったり、上げるどころか下げるような状況になってしまうと、人気の離散が懸念されます。一方で、じわじわでも上昇してくるようなら、それと歩調を合わせて同社のファンが増えていく展開が期待できます。出来高が人気を表すバロメーターとなりますので、増加傾向となるか減少傾向となるかが、同社の株価を見る上での一つのポイントになります。
今後は決算発表時などリリースがあった際に、その内容とともに、どのくらいの値幅で動いてくるのかが注目されます。出遅れ感のあるセクターとして再評価される場面はあるのか。同業のKDDIやソフトバンクの株価動向にも注意を払っておきたいところです。
≪第2弾の結果はこちら↓≫