新NISAが変えた投資家の意識 ―「興味を持つ」から「自分で調べる」へ―

新NISAのスタートから約2年半がたちました。口座数や買付額ではなく、「投資家の考え方」に変化が表れてきました。日本証券業協会(日証協)が2026年4月中旬にインターネットで行った「個人投資家の証券投資に関する意識調査」によると、新NISAを始めてから、「資産形成についてより興味を持つようになった」という人が4割以上に上りました。


NISAをきっかけに資産形成に興味を持つようになった


日証協の調査では、NISAをきっかけに資産形成に前向きになった人が増えていることがわかりました。


【グラフ1】は、新NISA口座の開設前後での行動の変化について尋ね、選択肢の中で最も多かった「資産形成についてより興味を持つようになった」と答えた人の年代別割合です。2026年の調査では、どの年代も前年より増えていることがわかります。



特に伸びが大きかったのは50代で11.8ポイントの増加です。若い世代ほど興味を持つようになった人の割合が高い傾向も読み取れます。


新NISA口座の開設前後でみられた行動変化として2番目に多かったのは、全体で30.4%の「NISA口座での投資を始めた」で、3番目は「新NISAを今後も利用したいと思うようになった」が30.3%でした。


自分で「調べる」が大事


投資は、始めた直後に結果がわかるものではありません。以前なら「わからない」ということを恐れて、投資に二の足を踏んでいた人が多かったように思います。


新NISAをきっかけに資産形成を始めた人は、まだ慣れていないうちにこの2年ほどの金融市場の乱高下を経験していることでしょう。以前なら、値下がりしたら嫌気がさして、投資の世界に戻ってこないという人も少なくありませんでした。


同じ質問で4番目に回答が多かった「資産形成についてより積極的に調べるようになった」は、全体で25.8%。約4分の1の人が、「自分で調べる」という行動につながっています【グラフ2】。



特に、若い世代ほど調べる人が多く、前回調査からの増加も大きくなっています。


「投資は自己責任」とは、もはやほとんどの人が理解しているでしょうけれど、いざ相場が荒れてしまったり、値上がりが続いたりしていると、誰かの意見を聞いてみたくなるものです。


しかし、「興味を持つ」→「調べる」という行動になるという好循環を読み取ることができ、筆者は嬉しくなるのでした。


NISAを機に投資のハードルが下がった


また、NISA口座を開設したことをきっかけに、投資に対するイメージがどう変化したかを尋ねたところ、最も多かった回答は「大きな資金がなくても、少額から投資が始められることが分かった」で、全世代では38.2%でした。


これを年代別に見ると、若いほど多くなっています。30代以下が50.2%で、40代が49.0%。ほぼ半数に上り、「自分でもやれる」という気持ちになった様子がうかがえます。


また、「長期投資や分散投資を意識するようになった」という回答は全体で28.7%、「投資が身近に感じられ、投資へハードルが下がった」という人は27.8%でした。


一方で、「何に投資すればよいかわからなかった」(23.6%)、「制度の内容がよくわからなかった」(10.1%)という回答もありました。新NISAが始まって2年半が経ちましたが、制度を利用するだけでは、こうした不安が自然になくなるわけではありません。


だからこそ、今回の調査で「資産形成についてより積極的に調べるようになった」という人が増えていることには、大きな意味があります。わからないことをそのままにせず、自分で調べ、理解を深めようとする姿勢こそが、長く資産形成を続ける土台になるのではないでしょうか。

新NISAは、単に非課税制度を広げただけではなく、お金との向き合い方を変えるきっかけにもなっているのかもしれません。


【参考】

個人投資家の証券投資に関する意識調査について」(日本証券業協会)

ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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