新NISAで増えたネット証券利用者 資産を守るために知っておきたいこと

日本証券業協会では、インターネット取引に関する調査を半期ごとに実施し、その結果をまとめています。2026年3月末時点のインターネット取引の状況が公表されましたので、ポイントをご紹介しましょう。


口座数は5,625万口座 でも約4割は残高ゼロ


2026年3月末時点で、調査対象の証券会社は257社。そのうちインターネット取引を取り扱っている証券会社は91社で、全体の35.4%です。


証券取引をインターネットで行なう「ネット証券口座」は、2026年3月末時点で5,625万口座。半年前の前回調査に比べて502 万口座(9.8%)増加しました。


そのうち1円以上の残高がある口座は3,387万口座で、総口座数の60.2%。前回調査時は63.3%で、残高がない口座がおよそ4割あります。口座を開設したものの、実際には利用していない人や、一時的に利用を休止している人もいると考えられます。


どの年代でもネットの証券口座が増えている


個人のネット証券口座数を年代別に見ると、最も口座数が多いのは50歳代の1,191万口座で、全体の21.3%。次が40歳代で1,126万口座(20.1%)。次いで30歳代が942万口座(16.8%)、60歳代が805万口座(14.4%)となっています。


このうち、1円以上の残高がある口座を「有残高口座」といい、最も多いのは50歳代で716万口座でした。続いて40歳代の646万口座、60歳代の532万口座、30歳代の528万口座の順です【グラフ1】。



2025年下期はインターネット取引の売買代金が大きく増加


2024年度は、上期・下期を通じて、インターネットによる証券取引額が大きく増加しました。


2025年度下期(2025年10月~2026年3月)は、インターネットを経由した株式等の取引が急増しました。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)等を含むインターネット経由の売買代金は、694兆856億円でした。


2025年度下期における、全証券会社を通じた株式等委託取引の売買代金は2,304兆906億円で、これに占めるネット取引の売買代金は、30.1%でした。


なお、2025年9月末時点の調査結果について、証券会社からの数値修正報告によって日本証券業協会は同期間のインターネット取引の売買代金等を訂正しています。これにより、2025年度下期に初めてインターネット取引が全体の取引の30%台になりました。売買代金も2025年度下期には大幅に増加しています【グラフ2】。



ネット証券口座の投信買付額も増加が続く


インターネット取引は、上場株式等のみならず、一般の公募投資信託でも増加しました【グラフ3】。



2025年度下期は7兆6,123億円となり、前回調査に比べて50.3%増加しました(証券総合口座におけるMRF等の自動買付分を除く)。


年代別では、50歳代が9,201億円で最も多く、全体の25.4%を占めました。次いで40歳代が8,213億円で22.7%、60歳代が6,750億円で18.7%となっています。


インターネット取引では不正アクセスにご注意を


現在、実在する証券会社等を装った偽サイトや偽アプリ等によるフィッシング、マルウェア(ウイルス等)などで窃取した個人情報(ログインID、パスワード等)を悪用した、インターネット取引サービスでの不正アクセス・不正取引の被害が発生しています。


日本証券業協会では、不正アクセス・不正取引対策として、投資家に向けて、特に以下2つの対応を案内しています。


(1) パスキーによる認証等への切り替え

インターネット取引サービスを提供する証券会社は、フィッシングに耐性のある多要素認証(パスキーによる認証等)の必須化に取り組んでいます。取引をしている証券会社でパスキーによる認証等が提供されている場合には、速やかにパスキー認証に切り替えましょう。


(2) 取引証券会社の公式サイトや公式アプリからのお知らせ・注意喚起を確認


(3) メールやSMS(ショートメッセージサービス)に表示されているリンク・URLからログインしない

証券会社等を装った偽メールやSMSが多く送信されています。メールやSMSに表示されているリンク・URLからログインせず、取引証券会社の公式サイトをあらかじめブックマークしておき、公式サイトのブックマークや公式アプリからログインするようにしましょう。


(4) セキュリティソフト等は常に最新版にしておく

(5) インターネット取引を利用する際は、アカウントのパスワードの使いまわしはせず、不特定多数が利用できる端末でのログインや取引は控える


身に覚えのないログイン、取引や出金など不審な点があった場合には、速やかに取引証券会社のお問い合わせ窓口等に確認し、警察に相談することをお勧めします。


投資では「資産を増やすこと」に目が向きがちです。しかし、大切な資産を守ることも同じくらい重要です。便利なネット証券だからこそ、基本的なセキュリティ対策を習慣にして、安全な資産運用を心掛けましょう。


【参考】「インターネット取引に関する調査結果」(日本証券業協会)

ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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