日銀の利上げで株価は下がる?「金融相場」と「業績相場」の見方

日銀は2026年9月17・18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げることを決めました。企業業績が堅調に推移する一方で、金利上昇が株価の重荷として意識されています。


こうしたなか、株式市場の記事では「逆金融相場」という言葉を目にすることがあります。さらに今後は、「逆業績相場」という言葉を耳にする機会もあるかもしれません。金利や企業業績と株価の関係を整理するために、意味を知っておきましょう。


金利と株価の関係


金利が上がると、企業が借り入れたお金に支払う利息が増え、利益を圧迫することがあります。また、住宅ローンなどの返済負担が増えて個人消費が減れば、企業の売上が伸びにくくなる可能性もあります。


投資家が企業の利益は伸びにくいと判断すれば、株式を買い控えたり、保有する株式を売ったりすることがあります。このような投資家の動きは、株価の上昇を抑える要因になります。ただし、金利の上昇が追い風になる銀行などもあり、すべての企業に悪い影響が及ぶわけではありません。


また、金利上昇によって預金や債券から得られる利息が増えると、価格変動リスクのある株式に投資する魅力は、相対的に低下します。


このように、金利の上昇は一般に株価の重荷になると考えられます。そのため、日銀の金融政策は株式市場でも注目されます。


ただし、金利が上がれば、必ず株価が下がるわけではありません。企業業績が好調であれば、金利が上昇するなかでも株価が上がることがあります。


反対に、金利が下がっても、企業業績の悪化によって株価が下がることもあります。金利と企業業績の組み合わせによって相場の局面を表した言葉が、「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」です。


金利と企業業績から見た「4つの相場」


景気や企業業績が悪化すると、中央銀行は景気を支えるために金利を引き下げます。企業業績はまだ振るわなくても、金融緩和によって株式市場にお金が向かい、株価が上昇し始める局面が「金融相場」です。


その後、景気が回復して企業の売上や利益が増え、その業績を反映して株価が上昇する局面を「業績相場」といいます。さらに景気が過熱し、物価上昇を抑えるために金利が引き上げられると、「逆金融相場」に移ります。そして、金利が高いなかで企業業績も悪化し、株価が下落する局面が「逆業績相場」です【表】。



ただし、これらは株価の先行きを言い当てるための言葉ではありません。金利や企業業績と株価の関係から、そのときの相場の状況を整理して表す言葉です。


「逆金融相場」と「逆業績相場」の特徴

冒頭で紹介した通り、9月の金融政策決定会合では政策金利が引き上げられました。一方、企業業績については、2026年4~6月期の法人企業統計では売上高が前年同期比5.9%増、経常利益が24.6%増の44.7兆円と過去最高となっています。


「金利が上昇する一方、企業業績は好調」という組み合わせは、逆金融相場に見られる特徴の一つです。ただし、この二つだけで現在が逆金融相場だと判断できるわけではありません。


なお、「逆」は、「通常とは反対」「異常」という意味ではありません。金融相場、業績相場という上昇局面に対し、株価が下降局面に向かう段階を表しています。


景気が回復して企業業績が好調になり、物価上昇が続くと、中央銀行は物価を安定させるために政策金利を引き上げます。企業業績はまだ好調でも、金利上昇による将来の業績悪化が意識され、株価が伸び悩んだり、下落したりする局面が逆金融相場です。


一方、金利上昇の影響などによって景気が減速し、企業の売上や利益が減少する局面を逆業績相場といいます。この局面では、利下げが始まっても株価が上がるとは限りません。景気を支えるために利下げが始まっていても、企業業績の悪化に対する懸念が強ければ、株価の下落が続くことがあります。


ただし、実際の相場は教科書どおりに進むとは限らず、現在がどの局面にあるかについても見方は分かれます。また、金融相場から業績相場へ、業績相場から逆金融相場へと、ある日きれいに切り替わるわけではありません。相場の局面は、後から振り返って初めて見えやすくなるものです。


相場の名前を当てることよりも、金利と企業業績が株価にどのような影響を与えているのかを見ることが大切です。「逆金融相場」「逆業績相場」という言葉を見かけたときは、金利と企業業績がそれぞれどのような方向へ動いているのかを確認してみましょう。


ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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