株式投資を始めようと証券会社のウェブサイトを開くと、銘柄ごとに株価チャートが表示されます。何本もの棒や線が描かれていて、「難しそう」と感じたことはありませんか。
株価チャートにはさまざまな見方や分析方法があります。しかし、最初から難しい分析手法を覚える必要はありません。まずは、株価チャートに何が表されているのかを知るところから始めましょう。
株価チャートは「投資家の意見の足跡」
そもそも、株価はどのように決まるのでしょうか。
株式市場は、株式を売りたい人と買いたい人が集まる「オークション会場」のようなものです。「この会社はこれから成長しそうだから買いたい」という人が増えれば、より高い値段でも買いたいと思う投資家からの注文が入り、株価は上昇します。反対に、「業績が悪くなりそうだから売りたい」という投資家が増えれば、株価は下落します。
このように、株価の動きには、その会社に対する投資家のさまざまな判断が反映されています。
そして、過去から現在までの株価の動きを時系列で表したものが「株価チャート」です。いわば、株価チャートは「投資家の意見の足跡」といえるでしょう。
株価チャートを見ると、株価が右肩上がりになっている時期もあれば、下がり続けている時期、あまり動いていない時期などがあることが分かります。まずは「この会社の株価は、これまでどのように動いてきたのだろう」と眺めてみましょう。
ローソク足から値動きを見てみよう
日本では、「ローソク足」という株価チャートがよく使われています。名前の通り、ローソクのような形をした棒が並んでいます。
1本のローソク足には、一定期間の「寄付(始値)」「高値」「安値」「終値」という4つの株価が表されています。
例えば日足(ひあし)なら、始値はその日の最初についた株価、終値は最後についた株価です。そして、その日に最も高かった株価が高値、最も安かった株価が安値です。ローソク足を見ると、単に「今日はいくらだった」ということだけではなく、その日の株価がどのように動いたのかが分かります。
一般的に、始値より終値が高ければ「陽線」と呼ばれる白抜きの棒、始値より終値が安ければ「陰線」と呼ばれる黒く塗りつぶされた棒で表されます。最近のウェブサイトやアプリはカラフルなので、白黒ではなく、赤や青、緑といった色で表現されている場合もあります【図1】。

ローソク足にはさまざまな形があり、その形から投資家心理を読み取る分析方法もあります。しかし、投資を始めたばかりなら、まずは「1本のローソク足に4つの株価が入っている」ということが分かれば十分でしょう。
移動平均線で大きな流れをつかむ
株価チャートを見ると、ローソク足のほかに、なめらかな線が描かれていることがあります。これが「移動平均線」です。
移動平均線は、一定期間の終値の平均値を計算し、それをつないだ線です。
例えば「5日移動平均線」なら、直近5日間の終値の平均値を毎日計算して、その値をつないでいきます【図2】。

株価は日々上下します。そのため、ローソク足だけを見ていると、株価がどちらの方向に動いているのか分かりにくいことがあります。そこで、一定期間の株価を平均することで細かな値動きをならし、株価の大きな流れを見やすくしたものが移動平均線です。
移動平均線が右肩上がりなら、その期間の株価はおおむね上昇傾向、右肩下がりなら下落傾向にあることが分かります。
証券会社のウェブサイトなどでは、期間の異なる複数の移動平均線が表示されることもあります。まずは、それぞれの線の細かな動きを分析するより、「株価は大きく見て上がっているのか、下がっているのか」という流れをつかむために使ってみてはいかがでしょうか。
株価が下がったら「安い」?
株式投資では、「安い時に買って、高い時に売りたい」と考える人が多いでしょう。では、株価チャートを見て、以前より株価が下がっていたら「安くなったから買い時」と考えてよいのでしょうか。
必ずしもそうとは限りません。
投資家が株式を買ったり売ったりする判断材料には、企業の業績や財務内容、今後の事業展開、経営者の考え方など、さまざまなものがあります。
例えば、業績が大幅に悪化することが分かり、それを受けて多くの投資家が株式を売ったために株価が下がっているのかもしれません。一方で、企業そのものに大きな変化はなくても、株式市場全体が下落した影響を受けて株価が下がることもあります。
大切なのは、チャートを見て株価の動きに気づいたら、「なぜ上がったのだろう」「なぜ下がったのだろう」と考えてみることです。
株価チャートは、これから株価が上がるか下がるかを確実に教えてくれるものではありません。これまで株価がどのように動いてきたのかを知り、売買のタイミングを考えるための材料の1つです。
まずは気になる会社の株価チャートを開いてみてください。難しい分析手法を覚える前に、株価の動きや大きな流れを眺めるところから始めてみましょう。



