ビットコイン、急騰
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年8月21日21時30分頃、対円では前週(7日前)比12.5%高の1140万円前後で取引されています。BTCドルが7万1700ドル台と年初来では約18%安まで低下幅を縮小してきました。
BTC円は14日に994万円台まで下落したところ下げ渋ると、しばらくはもみ合いが続きました。19日夜に1040万円を超えると買いが一気に強まり、20日朝には1100万円を上回りました。その後も強含み、1145万円台まで上げ幅を広げています。
BTCドルも14日の6万2500ドル割れから、18日夜には6万5000ドル付近まで持ち直していました。19日のニューヨーク午前に急騰し、7万ドル付近で一旦は上昇が一服するも、20日には7万2400ドル近辺まで大きく上値を伸ばしました。

※Trading Viewより
米国債市場が暗号資産を動かした
8月19日、米財務省が長期国債の買い戻し規模を従来の最大20億ドルから40億ドルへ倍増すると発表しました。買い戻しは9月から11月にかけて実施される予定です。これを受けて米長期金利が低下し、金融市場では流動性改善への期待が一気に高まりました。
長期金利が下がると、債券の利回り優位が薄れ、株式や暗号資産といったリスク資産への投資意欲が高まります。今回の暗号資産急騰は、暗号資産固有の悪材料が解消されたわけではなく、米国債市場を起点としたマクロの流れが引き金となった点が特徴です。「暗号資産だけの話」ではなく、金利や流動性といった金融市場全体の動きと連動していることを改めて示した格好です。
「Bitcoin hits $69,000, ether jumps 10% as Treasury buybacks, SEC crypto proposal fuel market rally」

※Trading Viewより
現物ETFに3カ月半ぶりの大規模流入
8月19日、米国の現物ビットコインETFに約5億1700万ドルの純流入が記録されました。これは約3カ月半ぶりの大きな流入規模です。6月に記録的な流出が続いたことを振り返ると、大きな転換点と言えます。
「Spot bitcoin ETFs report $517 million in net inflows, largest in 3.5 months」
今回の上昇で注目すべきは、先物市場だけで作られた動きではなく、現物ETFにも実際の資金が流入していた点です。先物主導の上昇は反落しやすい一方、現物への資金流入を伴う上昇は持続性が高いとされます。長らく続いた流出傾向が止まり、機関投資家の資金が戻り始めているとすれば、相場の地合いが変わりつつあるシグナルとして見逃せません。
30億ドルのショート清算が上昇を増幅
今回の急騰では、売り持ち(ショート)ポジションの強制清算が上昇をさらに加速させました。CoinDeskによると、8月20日の上昇局面で約30億ドルものショートポジションが清算されており、2021年以降で最大規模のショート清算イベントとされています。
「Bitcoin breaks out of six-week range, tops $71,000 as $3 billion in shorts get wiped out」
仕組みとしては、買い材料をきっかけにBTCが上昇すると、売り持ちのトレーダーが損切りを迫られ、その買い戻しがさらなる上昇を招きます。この連鎖がETH・SOLなどアルトコインにも波及し、暗号資産市場が全面高となりました。ただし、今回の上昇幅の一部はショートカバーによって膨らんだものです。すべてを新規の買い資金と見るのは注意が必要で、今後も資金流入が続くかどうかが焦点となります。
「Ether jumps 18% to $2,250 as bitcoin tops $69,000 in broad crypto rally」
規制整備が追い風に、SECとトランプ発言
8月18日、SECが「Regulation Crypto Assets」を提案しました。暗号資産の一部について証券法上の登録要件を免除する仕組みを設けるもので、これまで事業展開の足かせとなっていた規制上の不確実性が低下することへの期待が高まりました。機関投資家にとっても参入しやすい環境が整いつつあります。
「SEC Proposes New Regulation Crypto Assets」
翌19日にはホワイトハウスで暗号資産関連の会合が開かれ、トランプ大統領がCLARITY法案の成立を議会に強く促しました。これを受けてBTCは7万1000ドル台まで上昇する場面がありました。208回でお伝えした通り、CLARITY法案は暗号資産の法的分類を明確にし、銀行や機関投資家が参入しやすくする法案です。規制整備の遅れが懸念されていた直前の状況から一転、政策面でも追い風が吹いた形となりました。
「Bitcoin, crypto shares climb after Trump pushes Clarity Act」
HYPE急騰の理由は別にある
今回の全面高の中でひときわ目立ったのが、HYPE(Hyperliquid)の急騰です。Hyperliquidは永久先物取引を中心とするプラットフォームで、現在は米国ユーザーが原則利用できません。8月19日、トランプ大統領がCFTC(商品先物取引委員会)のセリグ委員長がHyperliquidを米国に規制準拠の形で導入するため取り組んでいると発言したことで、HYPEは急騰し一時70ドルを上回りました。
HYPEの上昇が特に大きかった理由には、独自の収益構造があります。Hyperliquidは手数料収入の約99%をHYPEの買い戻し・バーン(消却)に充てており、米国進出が実現すれば取引高と収益が拡大し、買い戻しもさらに増えるという期待が価格に織り込まれました。ただし現時点では「米国進出が正式決定した」わけではなく、CFTCが規制準拠型での展開に向けて取り組んでいる段階です。今後の具体的な進展を確認しながら見守る必要があります。
「Bitwise CIO sees market repricing as crypto embraces 'revenue fever」



