中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない――。そんな場合は、身近にある上場企業に投資してみるというのも一つの手です。そこで今回は、意外と身近にある中国株というテーマで、身近にある中国株の銘柄を紹介したいと思います。日本でも意外と中国株銘柄の商品やサービスを探すことができます。今回は街中で中国株銘柄を探してみました。
日本の家電量販店や街中で目にする「Anker」
今回見つけたのは、充電器やモバイルバッテリーで圧倒的な知名度を誇るスマートデバイス開発大手、アンカー(00668:安克創新科技)です。
ヨドバシカメラやビックカメラといった大手家電量販店の特設コーナーに行けば、誰もが一度はその青と白のスタイリッシュなパッケージを目にしたことがあるでしょう。近年では、主要都市のショッピングモール内に直営店「Anker Store」の展開も急速に進んでおり、街中でその存在感を目にする機会が格段に増えました。
日本で暮らしていると、「日本のメーカー」あるいは「欧米の洗練されたデジタルブランド」だと思っている方も少なくありません。しかし、同社は中国の湖南省長沙に本社を置く、世界的なスマートハードウエア企業なのです。
実は「世界の直営店のほぼすべて」が日本に集中
筆者が「Anker Store」の店舗を訪れてみると、店内にはモバイルバッテリーや充電器、ケーブル類だけでなく、多彩な製品が整然と並べられていました。同社の大きな特徴は、カテゴリーごとに魅力的なブランドを展開している点です。

ポケモンとのコラボ商品も展開する
・Anker(アンカー):高品質なモバイルバッテリー、USB急速充電器。窒化ガリウム(GaN)を活用した超小型・高出力モデルは同社の看板商品
・soundcore(サウンドコア):手頃な価格ながら圧倒的な高音質を備えたワイヤレスイヤホンやスピーカー
・eufy(ユーフィ):ロボット掃除機やスマートカメラなどのスマートホーム関連機器
・Anker SOLIX(アンカー・ソリックス):防災需要やアウトドアで注目の大容量ポータブル電源

スピーカーのsoundcore(サウンドコア)
以前紹介した小米集団(01810)が「スマートフォンを軸に広大な家電エコシステムを構築した」のに対し、アンカーは「充電器という周辺機器のニッチな領域からスタートし、暮らしを快適にするマルチブランドへ拡大した」という違いがあります。
驚くべきことに、アンカーが世界で運営する直営店49店舗のうち、実に48店舗が日本国内に集中しています(2025年末時点)。「実店舗で実際に製品を手にとり、品質を確認して購入したい」という日本の消費者の購買行動に合わせた独自の戦略であり、同社にとっていかに日本が特別な市場であるかがうかがえます。
元Googleエンジニアの決意と「Anker」という社名に込めた想い
アンカーの創業者は、1985年生まれの陽萌(スティーブン・ヤン)氏です。彼は北京大学を卒業後、米国の名門テキサス大学オースティン校でコンピューターサイエンスの修士号を取得。その後、米Googleに入社し、シニアエンジニアとしてアルゴリズムなどの開発に携わっていました。

80後の陽萌氏は元Googleエンジニア
そんな彼が2011年末、20代半ばでGoogleを辞め、起業を決意します。きっかけは自らの苦い体験でした。愛用していたノートパソコンのバッテリーが劣化し、交換品を探したところ、「メーカーの純正品はあまりにも高額で、ネットで買える安価なノーブランド品は粗悪で危険」という現実に直面したのです。
「なぜ高品質で安全なバッテリーを、適正な価格で買えないのだろうか?」この疑問こそが創業の原点でした。大手メーカーが見落としていた周辺機器の市場に巨大なチャンスを見出した彼は、Googleで培った技術力を武器に、故郷の中国・長沙でアンカーという会社を立ち上げます。
社名でありブランド名でもある「Anker」は、ドイツ語の「錨(いかり)」に由来します。荒波の中でも船をしっかりと固定する「錨」のように、「激しく変化するデジタル時代において、人々の生活と安心をしっかりと支える確固たる存在でありたい」という陽萌氏の力強い想いが込められています。
日本進出から勝ち取った「トップシェア」と事業への貢献
創業当初からAmazonを通じたグローバル展開を進めていたアンカーですが、日本市場へのアプローチは格別でした。創業から間もない2013年1月には早くも日本法人「アンカー・ジャパン株式会社」を設立。参入翌年の2014年には、早くも日本のAmazon市場におけるモバイル充電カテゴリーで売り上げ1位を達成します。
当時、中国製の電子機器といえば「安かろう悪かろう」のイメージが強く残っていました。しかし、アンカーは徹底的な品質管理に加え、日本法人による手厚い日本語カスタマーサポートや手厚い製品保証制度を確立。「顧客の声(レビュー)」を分析して即座に改善するスピード感も手伝い、日本の消費者の絶大な信頼を獲得していったのです。
その結果、2025年の国内小売売上高ベースで、アンカーは日本のモバイル充電製品市場で第1位、ワイヤレスイヤホン市場でも第2位を獲得するまでに至っています。
業績面で見ても、日本市場からの売上高は2023年に約24億9000万元、2024年に約34億4000万元、2025年には約39億7000万元(約800億円規模)へと順調に拡大。グループ全体の売上高の13-14%を日本が一国で占めており、同社にとって最も重要で成熟した主力市場の一つとなっています。

ニッチなバッテリー交換から始まった挑戦は、「錨」の名の通り、いまや日本のデジタルライフにも欠かせない太い幹へと成長。そして、2026年7月には香港証券取引所メインボードへの上場を果たしました。普段、何げなく手にとっているその充電器やイヤホン。あなたのデスク周りを支えてくれる「お気に入りブランド」の成長ストーリーに、株主という形で“アンカー(錨)”を下ろしてみるのも、中国株投資のひとつの醍醐味かもしれません。
まとめ:今回見つけた身近な中国株銘柄
今回見つけた身近な中国株銘柄はアンカー(00668:安克創新科技)で、香港証券取引所メインボードに上場しています(※深セン創業板:300866にも重複上場)。
【中国のスマートデバイス開発会社】中国でスマートデバイスの企画、設計、開発を手掛け、世界の約180カ国・地域で製品を販売する。主力製品はモバイルバッテリーやスマートフォンの急速充電器で、「ANKER(アンカー)」ブランドを展開。スマートホーム製品では監視カメラを含むセキュリティーシステム、ロボット掃除機、家庭用蓄電製品、ポータブル電源などを提供する。音響・映像事業の主力はワイヤレスイヤホン、スピーカー、プロジェクターなど。生産機能を持たないファブレスモデルで事業を展開する。




