「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回は2026年7月に上場したチャットプラス(598A)をみていきます。
事業内容:チャットボットシステムを展開
同社は、SaaS(クラウド型ソフトウェア)方式によるチャットボットシステム「ChatPlus」「AI AgentPlus」およびFAQシステム「FAQPlus」の開発・提供を主たる事業としています。
主力製品である「ChatPlus」は、あらかじめ設定された質問と回答に基づき訪問者が選択肢を通じて対話を進める「シナリオ型」や、自社開発AIを活用した「フリーワード型」、有人チャットなど、企業の問い合わせ対応を自動化・効率化するソリューションです。
さらに、ChatGPTなどの生成AIを連携させた「AI AgentPlus」は、高度な文脈理解と自然な対話による応対を実現しつつ、自社開発AIが登録データから関連情報を抽出して受け渡すことで、生成AI特有の「誤回答(ハルシネーション)」を抑制する強みを持っています。
また、FAQシステム「FAQPlus」は、よくある質問・回答の記事を作成・整理・管理し、利用者が迷わず答えにたどり着けるようにするヘルプサイト運用サービスであり、「AI AgentPlus」と連携させることで管理者の運用負担を大幅に削減することができます。
IPO時の状況:高人気で初値は2.1倍
2026年7月15日、東証グロース市場に上場しました。公開価格は仮条件(1050円から1080円)の上限である1080円に決定しました。
上場時の注目度は高く、初値は公開価格の2.1倍となる2284円と非常に好調な滑り出しをみせました。上場直後は連日の急騰劇を見せ、上場2日目の7月16日には一時2784円まで上昇、上場来高値を記録しました。
しかし、高人気の反動やグロース市場全体の需給悪化、さらには短期マネーの利益確定売りに押され、その後は右肩下がりの下落トレンドをたどる苦しい展開となりました。
直近の株価動向:保守的な業績見通しが嫌気され安値更新
株価が低迷するなか、同社は2026年8月16日に上場後初となる決算を発表しました。26.6期決算は、以下となりました。
・売上高 :12.2億円(前の期比19.5%増)
・営業利益 : 5.3億円(前の期比43.4%増)
・当期純利益: 3.5億円(前の期比40.9%増)
SaaSの顧客基盤が拡大し、売上総利益率は75.1%に上昇。高い営業レバレッジを背景に、営業利益率は前期比で大幅に向上し、極めて収益性の高い決算となりました。
しかし、同時に発表された以下の27.6期の業績予想が今期の勢いと比較して保守的で慎重な見通しにとどまったことが市場に嫌気されました。
・売上高 :13.7億円(前期比12.1%増)
・営業利益 : 5.6億円(前期比 5.0%増)
・当期純利益: 3.6億円(前期比 3.6%増)
この結果、決算発表後も下落に歯止めがかからず、2026年8月20日の株価は一時1282円まで売り込まれ、上場来安値を更新しました。公開価格こそ維持しているものの、初値(2284円)から約44%、上場来高値(2784円)からは半値以下の水準まで調整が進んでいます。
今後の見通し:再評価のトリガーは?
現在の株価水準での予想PERは18倍程度まで低下しており、他のSaaS企業やAI関連銘柄と比較して割安感が意識される水準です。
同社の最大の強みは、月額・年額の継続課金であるストック型収入の割合が95.9%と極めて高い点です。解約率(Churnレート)も1.7%から1.8%前後の低水準を維持しており、毎月安定したキャッシュが創出されるビジネスモデルとなっています。
今後の成長に向けては、高単価な「AI AgentPlus Pro(年間300万円)」のアップセルや、導入・定着を支援する伴走型「AXソリューションサービス」によるフロー・ストック両面の収益拡大が注目されます。また、配当予想を前期の3.0円から今期は9.0円とするなど、株主還元姿勢を強化している点も好印象です。
まずは足もとの売上高が四半期ベースで順調に推移し、保守的な通期予想の上振れ期待が高まるかどうかが、株価底打ちから反転上昇へのカギになると考えます。
【チャットプラスの日足チャート】




