【暗号資産レポート】2026年9月まとめ-BTC・ETHの上昇要因を振り返る

市場動向

2026年9月の暗号資産市場は、主要銘柄を中心に上昇しました。BTCは対ドルで月間約6.4%上昇し、ETHは約9.1%上昇しました。

 

同期間、暗号資産全体の時価総額は約2.735兆ドルから約2.962兆ドルへと増加しました。月間では約8.3%の増加となり、市場全体でも上昇が続きました。

 

現物ETF市場では、BTC、ETHともに月間ベースで純流入となりました。BTC現物ETFは約26.5億ドル、ETH現物ETFは約8.3億ドルの純流入となり、月後半を中心に資金流入が確認されました。

 

ステーブルコインの供給総額は月間で約1.1%増加しました。また、DeFiプロトコルへの預入資産の規模を示すTVL(Total Value Locked)は、月間で約9.7%の増加となりました。

 

短期的には、ETFフローに加え、ステーブルコイン供給総額やTVLの推移が市場の地合いをみるうえで引き続き注目されます。

 

BTCやETHの価格推移

2026年9月のBTCは月初の約78600ドルから、月末には約83600ドルまで上昇しました。月間では約6.4%の上昇となり、月中の調整を経て、月後半に持ち直す展開となりました。

 

米国での利上げに対する警戒感や現物ETFからの資金流出が、月中の相場の重しとなりました。9月16日には、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を0.25ポイント引き上げました。一方、月後半は現物ETFへの大幅な資金流入が相場を下支えしたとみられます。

 

※BTCドル日足チャート、出所:TradingView

 

ETHも月初の約2450ドルから月末には約2700ドルまで上昇しました。上昇率は約9.1%と、BTCを上回りました。現物ETF市場でも月後半に資金流入が優勢となり、月間では価格と資金フローの双方で堅調な動きでした。

 

 

※ETHドル日足チャート、出所:TradingView

 

ETFフロー

2026年9月の現物ETF市場では、BTC、ETHともに月間ベースで純流入となりました。月中にはまとまった資金流出も観測されましたが、月後半は資金流入が優勢となりました。

 

BTC現物ETFは、9月合計で約26.5億ドルの純流入となりました。3日、18日、21日、22日、23日には比較的大きな資金流入がみられ、特に21日には約9.99億ドルの純流入となりました。一方、10日、15日、16日には比較的大きな資金流出となり、15日には約4.50億ドルの純流出となりました。月末の30日も純流出となりましたが、月間ベースでは大幅な純流入となりました。

 

 

※BTC現物ETF、日次資金フロー 出所:sosovalue

 

ETH現物ETFは、9月合計で約8.3億ドルの純流入となりました。3日、11日、18日、21日、22日には比較的大きな資金流入が確認され、特に21日には約2.70億ドルの純流入となりました。一方、15日、16日にはまとまった資金流出、16日には約2.24億ドルの純流出となりました。29日、30日も純流出となりましたが、月間では流入額が流出額を上回りました。

 

 

※ETH現物ETF、日次資金フロー 出所:sosovalue

 

BTC現物ETF、ETH現物ETFはいずれも月後半を中心に資金流入が強まりました。月間の純流入額はともに前月を下回りましたが、BTC現物ETFを中心に資金流入が継続しました。

 

オンチェーンデータ

2026年9月末時点では、主要暗号資産の価格上昇とともに、オンチェーン指標にも増加がみられました。ステーブルコイン供給総額、DeFi TVLはともに月間で増加しました。

 

ステーブルコインの供給総額は、月初の約3088.4億ドルから月末には約3123.8億ドルとなり、月間では約1.1%増加しました。供給総額は前月に続いて緩やかに増加しましたが、その増加率は主要暗号資産の価格上昇率やDeFi TVLの増加率を下回りました。

 

 

※ステーブルコイン供給総額、出所:defillama

 

DeFiセクターのTVL(Total Value Locked)は、月初の約868.9億ドルから月末には約953.1億ドルへと増加しました。月間では約9.7%の増加となりました。TVLの増加率は暗号資産全体の時価総額の伸びをやや上回り、預入資産の価格上昇も増加に寄与したようです。

 

暗号資産関連ニュース

米国では、9月15日に上院で暗号資産の市場構造を定める「CLARITY法案」の審議を進めるための採決が行われましたが、可決に必要な60票を確保できませんでした。同法案は、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限を明確にするなど、暗号資産市場の包括的な規制枠組みを整えるものです。今回の採決で立法手続きが停滞し、制度整備の先行きには不透明感が残りました。

 

一方、SECは9月17日、トークン化された米国上場株式の取引を対象とする「イノベーション免除」を発表しました。一定の条件を満たす取引プラットフォームと一部の流動性提供者に対し、取引所やディーラーに関する規制の適用除外を5年間認めます。対象銘柄や取引量の制限、原株式と同等の権利の確保、情報開示などを条件とし、投資家保護に配慮しながら新たな取引の仕組みを試行する措置です。SECは、恒久的なルールの整備に向けた意見募集も行います。

 

9月24日には、米連邦準備理事会(FRB)が、GENIUS法に基づく決済用ステーブルコインの規制に関する2つの案を公表しました。FRBの監督対象となる発行者に対し、米国短期国債などの適格資産で発行残高の全額を裏付けることを求め、自己資本やリスク管理の要件、発行に向けた申請手続きを定める内容です。現時点では意見募集の段階ですが、法律に基づく具体的な監督の仕組みが示されました。

 

日本では、金融庁が9月15日に公表した2026事務年度の金融行政方針において、ブロックチェーンを基盤とする「オンチェーン金融」の社会実装や、資金・証券決済の高度化を進める方針を示しました。また、9月29日には、トレードワルツ、NTTデータ、3メガバンクなどが参加するステーブルコインを用いた貿易決済の実証実験への支援を決定したと発表しました。貿易取引の資金決済への活用を通じて、実務面や法令面の課題を検証する取り組みです。

 

アナリスト

チョウ シンウ

広州生まれ。香港浸会大学で学士課程を修了後、コペンハーゲン大学にて学び、修士号を取得。香港の金融データ分野における実務経験を経て、現在はDZHフィナンシャルリサーチにてブロックチェーン・暗号資産分野に関する分析を担当している。

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