【ダブルボトムは買い参入の基礎】

もみ合いは何を意味しているのか?

日経平均のような株価指数や個別株は上昇相場や下落相場が一服したあとは、もみ合い相場を一時的に形成することがあります。

 

もみ合い相場が終われば、それまでと同じ方向に一段高につながっていくのか。一方、これまでの相場の方向とは逆に動きだすこともあります。一段高につながるもみ合いを「継続パターン」、相場の反転につながるもみ合いを「反転パターン」と呼んだりもします。

 

もみ合い期間はまちまちですが、この2通りしかありません。あるもみ合い局面で、相場はまだ下がると思い込んで手仕舞ったものの、相場の底だったことも珍しくはないでしょう。

 

逆に、相場の底だと思って仕込んだものの、一段安につながって損失が拡大した、ということもよく経験することではないでしょうか。

 

以下では、「反転パターン」をとりあげます。反転パターンはこれまの相場の方向が変わることを知らせてくれます。図表1に示したように、上昇相場や下落相場の天井や底に現れるもので、もみ合い期間の初期と末期では騰落の方向が反対になります。


ダブルボトムの特徴

では、反転パターンのうちのでも、相場の底値圏を判断する「ダブルボトム」についてかんたんに解説します。ダブルボトムは実務的にもよく出現する典型的な底入れパターンといえます。ダブルボトムを「二番底」ともいいます。

 

数カ月程度かけて大底局面で谷(安値)が2つ形成される動きを指します(図表2)。2つの谷は間にある山(戻り高値)を中心に概ね左右対称、あるいは2つ目の谷が1つ目の谷よりも浅いことが望ましいとされています。

 

一方、実務的には左右対称でない場合の方が多く、谷(安値)の深さも明確な基準はありません。

 

山(戻り高値)から右へ水平に延長した線を「ネックライン」 といいます。2つ目の谷を形成した後の上昇でネックラインを上回れば、ダブルボトムが完成して上昇トレンド入りしたと判断します。


ダブルボトムで変わった「マツダ」の値動き

図表3は、マツダの週次のチャートです。高値と安値を切り下げる下落相場(下降トレンド)が続きましたが、ダブルボトムを形成後に高値と安値を切り上げる上昇相場(上昇トレンド)に変わりました。ネックラインを一時的に下回る場面もありましたが、その後は再び高値を切り上げているのがわかります。


長い下落相場のあとは投資妙味大

ダブルボトムは実務的には左右対称ではないことが多く見極めづらいですが、トレンドが上向きに転換する大方のケースでは、直近の谷(安値)を下回らない状態で直近の山(戻り高値)を上回る現象がみられます。

 

つまり、ダブルボトムの発見は「買い参入を見極める基礎」といえます。

 

日次ベースのチャートでもよく発見できますが、投資妙味の大きさをはかる上では期間を長くした週次チャートでウォッチし、ある程度の長い下落相場が続いたあとに出現したものかを確認することが重要なポイントになるでしょう。

日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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