【ダブルトップは典型的な天井サイン】

もみ合いは何を意味しているか？

日経平均のような株価指数や個別株は上昇相場や下落相場が一服したあとは、もみ合い相場を一時的に形成することがあります。

もみ合い相場が終われば、それまでと同じ方向に一段高や一段安につながっていくのか。一方、これまでの相場の方向とは逆に動きだすこともあります。一段高や一段安につながるもみ合いを「継続パターン」、相場の反転につながるもみ合いを「反転パターン」と呼んだりもします。

もみ合い期間はまちまちですが、この2通りしかありません。あるもみ合い局面で、相場はまだ上がると思い込み、新規に仕込んだり、買い乗せしたものの、相場の天井だったことも珍しくはないでしょう。

逆に、相場の天井だと思って手仕舞ったものの、一段高につながって利益をとり損ねた、ということもよく経験することではないでしょうか。

「反転パターン」はこれまの相場の方向が変わることを知らせてくれます。図表1に示したように、上昇相場や下落相場の天井や底に現れるもので、もみ合い期間の初期と末期では騰落の方向が反対になります。

ダブルトップの特徴

では、反転パターンのうちのでも、相場の天井圏を判断する「ダブルトップ」についてかんたんに解説します。ダブルトップは実務的にもよく出現する典型的な天井パターンといえます。ダブルトップを「二番天井」ともいいます。

天井局面で山（高値）が２つ形成される動きを指します（図表２）。２つの山は間にある谷（安値）を中心に概ね左右対称、あるいは２つ目の山が１つ目の山よりも低いことが望ましいとされています。

一方、実務的には左右対称でない場合の方が多く、山（高値）の高さも明確な基準はありません。

２つの山の間にある谷（安値）から右へ水平に延長した線を「ネックライン」 といいます。２つ目の山を形成した後の下落でネックラインを下回れば、ダブルトップが完成して下降トレンド入りしたと判断します。

ダブルトップで下降相場に変わった「信越化学」

図表3は、信越化学工業の週次のチャートです。高値と安値を切り上げる短期の上昇相場（上昇トレンド）と高値と安値を切り下げる短期の下降相場（下降トレンド）を繰り返していますが、上昇相場から下降相場に変わる際にはダブルトップを形成していることがわかります。

長い上昇相場のあとは注意が必要

ダブルトップは実務的には左右対称ではないことが多く見極めづらいですが、トレンドが下向きに転換するケースの多くは、直近の山（高値）を上回れない状態で直近の谷（安値）を下回る現象がみられます。

つまり、ダブルトップの発見は、「利食い売りや市場からの撤退を判断する」1つのバロメーターとして考えることができます。

日次ベースのチャートでもよく発見できますが、ダマシを回避するためには期間を長くした週次チャートでウォッチし、ある程度の長い上昇相場が続いたあとに出現したものかを確認することが重要なポイントになるでしょう。