実は世界に誇るべきこと!過去5年の日本人ノーベル賞受賞者の専門分野を言えますか?

科学立国であることの証明になるノーベル賞。我々の生活における技術革新の「基礎」になった部分の受賞が多い特徴もあり、10月の発表時期と12月の授賞式以外はあまり話題になりません。もちろん技術畑・化学畑の方には喜ばしいニュースです。今回はあらたに投資の世界からノーベル賞を見たという斬新な視点にチャレンジします。


投資視点での「受賞予想」

投資の視点から見てまず注目したいのは「今年の受賞予想」です。ノーベル賞は10月第1週に発表されるため、9月末ともなれば「今年は誰が受賞しそうか」という予想合戦が行われます。


その予想が当たれば関連する企業の株価が急騰します。ノーベル賞は大学教授が受賞することが多いのですが、近年は民間企業の研究職が受賞することもあり、受賞の第一報が流れたときの株価への影響は著しいものです。


ノーベル賞を目指していたか否かとはともかく、その企業にはノーベル賞受賞者を輩出した企業としての箔がつきます。あらゆる企業評価を得てきた大企業から見ても、ノーベル賞の排出は偉業中の偉業です。


研究内容から発展し、企業全体の目指す社会貢献性の立証も得ることができます。日本では昔から「末は博士か大臣か」という言葉もある国です。研究の果てに新しく世の中に役立つものを生み出す博士の存在は、昔から日本人の憧れの的となってきました。


2017年から2022年の受賞者を振り返る

さて、2022年現在から5年のあいだにノーベル各賞を受賞した日本人受賞者を振り返っていきましょう。なお、帰化などで厳密には日本国籍ではない方もいますが、メディアにて日本人受賞者と定義している方は触れています。


本庶 佑氏(2018年ノーベル生理学・医学賞)

免疫を抑える働きを阻害することで癌を治療する方法の発見が受賞理由です。この発見により、癌の治療法において革命的な変化がもたらされました。


吉野 彰氏(2019年ノーベル化学賞)

リチウムイオン電池の開発成功が受賞理由です。ワイヤレスで化石燃料のない社会の基盤を築いたと評価されています。この受賞後、世界中でサステナビリティ(持続的な開発)がより声高に叫ばれるようになったと感じられます。


真鍋 淑郎氏(2021年ノーベル物理学賞)

地球温暖化の影響を予測するコンピュータモデルの開発が受賞理由です。地球の気候をコンピュータで再現する方法を開発しました。異常気象や先見の難しい災害への対策に応用されています。


2020年から2022年までの3年間は日本人の受賞者がいませんでした。基礎研究に対して光が当てられるノーベル賞に対して3年間受賞がいないことにネガティブな意見も聞かれますが、もう少し長い視点で見るべきかと思います。公表はされませんが、次点もしくは次々点となっている日本人の受賞候補者も多いのではないでしょうか。


ここから投資家目線から見て、ノーベル賞に今興味を持つことはどのような意味があるのかを考えていきます。


投資家としてノーベル賞に注目する意味

投資家としてノーベル賞に注目する点は、これから投資する銘柄を判断する指標になることです。もちろん受賞が発表されて世の中が沸き立ってからでは意味がないため、9月末の予想合戦をはじめとした「今年は〇〇が受賞するのだろうか」という予想にもとづく先行投資が鍵になります。


考えようによってはノーベル賞はとても予想のしやすいベンチマークです。たとえば国内株を主戦場としているとして、日本にとって得意な賞は決まっています。近年では医学生理学・化学・物理学あたりでしょうか。経済学は日本人による受賞はこれまで無かったので対象とは考えづらいことに加え、文学や平和賞は民間の投資や事業展開との可能性は低いものです。


タイミングとしては9月は遅いという指摘もあります。ノーベル賞は例年10月に発表されると決まっています。半年前にはおおよその候補が集まるという説もあります。もちろん候補のラインナップが公開されたり、漏れたりする可能性はありませんが、10月に向けて受賞者レースの開始であることは間違いありません。メディアなどで特集が組まれることが増えると、少なからず投資相場にも影響してくるでしょう。


当然ですがこの投資方法は日本に限った話ではありません。海外のノーベル賞受賞者はもちろん、受賞者の発表により相場の動く外国の企業も視野にいれて考えましょう。個別銘柄ではなく国単位だと投資信託も選択肢に含まれます。医学生理学尾領域においては世界レベルで懸念の高まっている病気や感染症などの研究も評価される可能性が高いと考えられます。


特に理科畑ではない筆者の視点からノーベル賞と投資の関係を考えました。純粋たる化学分野を投資の世界から分析するのは違和感が残りますが、研究資金と実用化のコスト、そして世の中に広まっていくプロセスの科動力としても資金需要は大切です。これまでの研究が我々の生活に溶け込み、次代の世の中を創ることに引き続き期待したいと思います。

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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