ツイッターから乗り換え続出!マストドンの破壊力

“マストドン”、月間アクティブ・ユーザー数は100万人超え


Twixitと呼ばれる日が来るのでしょうか?


イーロン・マスク氏がツイッターの最高経営責任者(CEO)に就任してから、セレブリティを始め次々とツイッターから離脱(Exit)しています。


米国で朝の情報番組「ザ・ビュー」のコメンテーターを務め、日本では映画「天使にラブソングを」や「ゴースト」で知られる女優のウーピー・ゴールドバーグの他、ネットフリックスの大人気ドラマ「ブリジャートン家」を手掛けた脚本家ションダ・ライムズ、R&Bシンガーのトニー・ブラックストン、グラミー賞ノミネート歴のあるシンガー・ソング・ライターのサラ・バレリス氏などがアカウントを削除。最近では、インスタグラムで7,620万人のフォロワーを持つスーパーモデルのジジ・ハディッドが、「憎悪と偏見の巣窟になりつつある」と強烈な別れの言葉を残し、去っていきました。


ツイッターを離れた彼らは、どこに行くのでしょうか?インスタグラムに注力する方もいらっしゃるでしょうが、どうもSNS”マストドン”に移動中のようですね。


マストドン(mastodon)は、2016年3月にドイツで誕生した短文投稿サイト。ロゴとマスコットをご覧になって想像できるように、約4,000万~1万1,000年前まで存在していたマンモスのような大型哺乳類の総称に因んで名付けられました。このマストドン、ツイッター離脱派の拠り所となっているようで、10月27日にマスク氏がツイッター買収を完了した10月27日以降に月間アクティブ・ユーザー数が急増、4月半ば時点の25万人から直近で100万人を突破しました。ツイッターの月間アクティブ・ユーザー数4.5億人に遠く及ばないながら、猛スピードで成長しているのですよ。


画像:マストドン、SNSの巨像となるか

 

(出所:mastodon)


ツイッターと同じく「いいね」ができたり再投稿も可能です。ではツイートの違いはというと、ざっくり以下の通り。


1)企業が一貫して管理・運営しているわけではなく、分散型プラットフォーム

2)地域や趣味などで分かれるサーバーのアドレスを選択しなければならない

3)アドレスは、例えばABCを使いたいとすればツイッターなら@ABCだが、マストドンでは使いたい名称+サーバー名となり、芸術のサーバーを選んだ場合は@ABC@mastodon.artとなる。

4)フォロワーのサジェスト機能なし

5)広告なし


企業が一貫して管理・運営していない事情から、いわゆるモデレート(管理・監督)もそのサーバー毎にバラバラというのは、基準が不明などの事情もあり一長一短とされています。


右派の短文投稿サイトは、苦戦


ツイッターからの離脱と言えば、最初に去っていったのは右派でした。


2018年8月に産声を上げた短文投稿サイトのパーラーは、英語ではお店や休憩所というイメージが強いですが、フランス語で「話す」を意味します。2020年6月には1日当たりのユーザー数は150万人を突破するなど、大いに世間を賑わせたものです。しかし、2021年1月6日の米議事堂襲撃事件を受け、アップルのアプストアやグーグル・プレイ、アマゾンのサーバー(AWS)から締め出された影響(アップルのアプストアは22年5月、グーグル・プレイは22年9月に再開、足元のサーバーは不明)もあり、人気は長続きせず。上半期の月間平均アクティブ・ユーザー数は75万人にまで減少し、ラッパー兼デザイナーのカニエ・ウエスト(現Ye)が10月に買収を発表したことで、漸く話題になった程度です。金額は不明ですが、マスク氏が支払った440億ドルに足元も及ばないと想像できます。


トランプ前大統領が2月に立ち上げたトゥルース・ソーシャルの利用者数をみてみましょう。こちらは、グーグル・プレイが10月後半からダウンロードを可能になったとはいえ、やはり好調とはいえず。中間選挙の当日の11月8日時点で、アップルのアプストアのSNSランキングで92位ですからね。月間ユーザー数は約200万人程度とパーラーを上回るとはいえ、勢いは感じられません。


画像:トゥルース・ソーシャル、アプストアで92位

 

(出所:App Store)


保守派のSNSが伸び悩むなか、マストドンはリベラル派のサンクチュアリとしてマンモス級の存在感をみせつけるのか。少なくとも2024年の米大統領選を控え、トランプ陣営が再出馬の意向をちらつかせるだけに、追い風は吹いていそうです。




ストリート・インサイツ

金融記者やシンクタンクのアナリストとしての経験を生かし、政治経済を軸に米国動向をウォッチ。NHKや日経CNBCなどの TV 番組に出演歴があるほか、複数のメディアでコラムを執筆中。

ストリート・インサイツの別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております