「エヌビディア」は何が凄いのか

2024年5月22日、アメリカ半導体大手のエヌビディア社(NVDA)が2-4月期の決算を発表し、純利益が前年同期比で約7.3倍となる148億8,100万ドル(約2兆3,300億円)、売上高は約3.6倍の260億4,400万円に到達、ともに過去最高を記録しました。


同社はメディアなどで「半導体大手」と定義されます。株式銘柄として半導体が高騰しているのは理解できますが、エヌビディア社だけが飛び抜けた業績を記録できるのはなぜなのでしょうか。


エヌビディアは生成AIを含む3分野が主力

エヌビディア社の事業構造を見ていきましょう。同社はGPU(グラフィックス処理ユニット)の分野で急速な成長を遂げました。ゲーム業界や3Dグラフィックスの分野で大きなニーズがあり、これまで40,000社以上の企業がNVIDIAのAI技術を導入しています。同社が今日を代表する企業として注目される前に、技術的に確立した土台があることがわかります。


生成AIの学習と推論

そのうえでエヌビディアを押し上げたのは、ChatGPTに代表される生成AIの成長です。生成AIの学習と推論をする上で、同社の技術が使われています。折角なので、同社の何が凄いかをChatGPTに聞いてみましょう。



生成AIへの寄与で伸びている同社の部門は「データセンター部門」と発表されています。膨大なデータから最適な答えを拠出する時のスピード、採取するデータの保管能力が同社の魅力といえます。


生成AIがグレードアップすれば当社の価値も更に上がる

ChatGPTは先日、リアルタイム対応や翻訳機能を大幅に向上させたChatGPT4o(チャットイーピーティーフォーオー)を発表しました。本メディアでも、何が凄いのかの記事が発信されています。


このように生成AIの最新モデルが発表され、実社会の生活面において実装されるほど、エヌビディアの企業価値も高まっていきます。2024年6月7日には1対10の株式分割も実行され、米建ての投資信託への組入れもより増えていくことでしょう。


自動運転向け半導体に注目

同社の決算では、データセンターと同様に自動運転半導体を擁する自動車部門が昨対11%増の3億2,900万ドルと発表されました。決算を報じるメディアなどではあまり報じられていませんが、筆者はここに同社の更なる成長があると予測しています。


本メディアでも自動運転の最新状況を分析しています。


引用:各種資料から筆者作成


2024年5月現在、技術的にはレベル4、実用上はレベル3といわれています。数十年前に前方や側方を走る車に近づいたときに自動警報が鳴らされるなど夢の話でしたが、今や当たり前になりました。「自動運転で事故が起きたらどうするんだろう」と考えているあいだに、技術は課題を克服し、次々と社会に実装されていきます。

自動運転には膨大な情報が必要です。目的地への最適解や走る道路の位置、交通標識など走行上のルールなど、我々が運転しているなかで取捨選択している情報は無数にあります。


これをエヌビディアの技術で実装し、車ごとに取得していく未来はすぐそこにあります。そのとき、同社の起業としての価値は更に上昇し、底知れぬものになるでしょう。


株価の過熱感をどう見るか

とはいえ株式銘柄としては、同社株は何度か急落を見せています。数多くの投資信託はヘッジファンドにも採用されていますが、敢えて個別株のチャートを見ていきましょう。


(週足)

引用:Trading View(以下、同様)



(日足)


同社株が著しく高騰したのは2024年に入ってからです。それまではチャートは右肩上がりではあったものの、立ち位置としては「将来的には急騰しそうな注目株」であることがわかります。


急騰後、2024年2月前後から下落した期間が見られます。株式としての過熱感に加え、各国政府が「生成AIは否定的なもの」として警戒心を出したあたりです。いつしか過熱感も霧消し、先日のGPT4oの発表では、「これで世界は〇〇に変わる」という歓迎感が大勢になっている印象を受けます。


それこそ2021年付近の同社の株価のように、いつか急騰するのではないかという生成AI分野より、自動運転の社会実装が華々しくスタートしたとき、同社は「自動運転の背後にあるエヌビディア社」として新たな高評価を得ることでしょう。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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