投資詐欺にご注意を


投資詐欺に関する相談が、全国の消費生活センター等に多数寄せられています。


最近では、SNS やマッチングアプリなどで知り合った人に勧誘されたケースや、先輩から誘われた学生からの相談が増えています。トラブルの内容については、暗号資産(仮想通貨)や外国為替(FX)で海外の業者へ送金をしたが、出金できなくなったという相談が目立っています。


多発している投資トラブルの事例


独立行政法人国民生活センターは、注意喚起のために、受け付けた相談内容を公表しています。そのうち、投資に関する事例を簡単にご紹介しましょう。


・ 儲かる株の情報を20万円で提供すると誘われ、代金をクレジットカード決済。指示通りにしても株価予想に必要なパソコンの設定ができない(10歳代 男性)

・ アフィリエイトで簡単に儲かるマニュアルを、65万円で購入。指示通りにブログを書いたが儲からず、事業者とは連絡が取れなくなった(20歳代 女性)

・ SNSで知り合った人に誘われセミナーに参加。日本円を暗号資産に交換し専用口座に入金すると高利回りになると言われ40万円を送金したが、出金できない(20歳代 女性)

・ 先輩から誘われたセミナーで、AIが暗号資産を運用すれば月10万円の配当があると説明され、お金がないと言うと学生ローンを組まされた。その後も借金を重ねたが配当は入らず、「出金手続き停止」との連絡。約150万円の投資が、3万円ほどになっている。

・ マッチングアプリで知り合った男性から暗号資産の投資を勧められ、最初は国内業者のアカウントを作成して暗号資産に交換し、次にその暗号資産を別の暗号資産に海外業者で交換。まずは儲けが自分の銀行口座に振り込まれたが、次々と投資を勧められ、消費者金融で借りるよう言われて合計500万円以上投資をした。出金したいと伝えると、「海外の業者から出勤するには200万円課税される」と請求された。


若い世代に多い、暗号資産(仮想通貨)に関する相談


全国の消費生活センター等に寄せられている相談で、暗号資産(仮想通貨)に関するものは、2021年度に6,350件ありました。年代別で最も多いのは40歳代ですが、男性では次に多いのは20歳代です【グラフ1】。詐欺といえば高齢者の被害が深刻ですが、暗号資産をはじめとして、情報商材に関する相談は若年層に多い特徴があります。



情報商材とは、インターネットの通信販売等で、副業や投資、ギャンブル等で高額収入を得るためのノウハウ等と称して販売される情報のことです。PDFや動画、メールマガジン、アプリケーション、冊子、DVDなどがあります。


最近増えているのが、SNSやマッチングアプリで知り合った相手から加入された事例です。また、自分自身が被害者になるだけでなく、「人を紹介すれば紹介料が入る」と、言われるままに片棒を担いでしまうケースも多いようです。


外国為替証拠金取引(FX)のトラブルは急増


また、外国為替証拠金取引(FX取引)や有価証券投資等のトラブルも増えています。【グラフ2】では、年を追うごとに相談件数が倍増しています。


 

よくあるのは、次のような手口です。金融商品取引法に基づく登録を受けていない海外の業者が、インターネットに日本語ホームページを開設し、高度な投資判断が必要な取引について勧誘。『必勝法、勝率○○%、投資額の○○%の利益』という投資マニュアルのような商材を、高額で販売するという詐欺的な行為です。


これらの取引がうまくいかずに損失を抱えると、連絡が取れなくなったり、返金されなかったりといったトラブルが発生しています。


ほかには、インターネットで「アルバイト」と検索してヒットしたサイトに登録したところ、「1日数万円稼げる」というメッセージが届き、マニュアルを購入。FX自動売買ツールの無料アプリを取得したうえで、高額なサポートを受ける契約を交わしてしまい、トラブルにつながったという事例が多発しています。


トラブルに巻き込まれないために


ここでご紹介した事例は、どれも、冷静に文章を読めば「怪しい」と感じる内容です。けれど、先輩に誘われたり、セミナーなどで成功例を見せつけられたりしたら、魔が差してしまうこともあるでしょう。


世の中に、簡単に儲かるような、うまい話はありません。安易に信じないようにしましょう。友人や先輩からの勧誘でも、きっぱり断る勇気を持つことです。


また、多くのケースでは「お金がない」と一度は伝えています。それでも断り切れず、クレジットカードの決済を促されたり、学生ローンを組まされたりして、契約させられてしまう手口が多いようです。


正式な業者として登録されていない海外の業者に送金する事例が多くありますが、金融商品取引法の登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です。また、「必ず儲かります」とか「2倍、3倍になります」といった表現は、金融商品取引法で禁じられています。このような言い方をしてくる場合は、金融商品取引業の登録を受けた業者ではないと思って良いでしょう。


金融商品取引法の登録を受けている業者かどうかは、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」(https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html)で調べることができます。


もし、「必ず儲かる」「簡単に稼げる」などと言って取引を持ち掛けられた場合は、まずは応じずに、誰かに相談しましょう。下記の行政機関でも受け付けています。


金融庁「金融サービス利用者相談室」

「証券・金融商品あっせん相談センター(略称: FINMACフィンマック)」

消費生活センター

消費者ホットラインでは、電話番号(局番無し)「188」


ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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