経営者がコロナで最もつらいのは返済猶予が終わる2023年?

未曽有の事象が続いたコロナは今、ビジネスの世界で見るとどこまで落ち着いてきたのでしょうか。特に会社経営者にとっては、普段ならば選択肢に浮かばない緊急策を取って急場を凌いだ人も多いことでしょう。そのときに借入金という資金調達方法を取ったときは、当然ながら返済義務が生じます。2023年、実は経営者にとって最大の壁は今年かもしれません。


セーフティネット保障(4号貸付)における猶予期限の終了

2020年から誰も経験したことのない外出自粛や経済活動の抑制、マスクの装着推奨が進められました。当然ながら外出自粛は観光業や飲食業などに多大な影響をもたらします。また美容業界や美容室なども、コロナによるマスク装着と外出自粛、イベント中止などで当面の需要を無くし、苦しむ事業者が多く発生しました。


金融機関はコロナ禍が直撃した事業者に対して門戸を開きます。通常なら貸付審査で否決となりそうな財務状態の案件も融資が下りました。この背景には保証協会の存在があります。主に中小企業やベンチャー企業に対して金融機関が融資をする際、保証協会が許可することによって融資のハードルが下がります。事業会社は金融機関の代わりに保証協会にも相応の手数料を支払うことで、融資を引き出す仕組みです。


万が一のときは保証協会への返済開始

返済が開始しても事業者の業績が戻らないとき、保証協会は残債を代わりに金融機関に一括一括返済し、事業者からの返済を開始します。つまり事業者にとっては、借入金の返済先が金融機関から保証協会に代わるという構図です。


別に相手が変わっても信義則守れば大丈夫、と油断する事業者もいますが、それほど単純な話ではありません。金融機関とのあいだで締結していた分割返済が、保証協会に引き継がれないことが多いためです。


保証協会にとっては(理由がコロナであれ何であれ)分割返済が不可能で自社に話が回ってきたため、当然ながら一括返済を前提に交渉を開始します。事業者にとっては分割返済が難しかったのに、一括返済など出来るわけもありません。


そうなると法人としては返済を履行できず、連帯保証として社長など個人の返済が始まります。ではこの悲観的なケースは、いつ頃から本格化するのでしょうか。


誤解して頂きたくないのは、保証協会の仕組みが理由ということではありません。返済体制が整わない事業者に対し、もうワンステップの時間の猶予が整備できないのかという提言です。


2023年に返済猶予が終わる事業者が多い

セーフティネット融資は2020年後半から2021年後半にかけて本格化しました。その時にコロナの影響が長引くだろうと予想された事業者はあらかじめ返済の猶予を求めます。


当時の政府からも返済の猶予に可能な限り応じるよう指示を受けた金融機関は、10カ月から1年返済を猶予します。その猶予期限の終わりが2023年の春から夏にかけて続々と訪れるようです。セーフティネット融資は急場凌ぎだった分、日常の返済力では到底対応できない融資も多数実行されました。では再開された返済にスムーズに進むよう、世の中は回復してきているのでしょうか。


再猶予が期待できないなかでどう回復図を描くか

世の中のニュースを見ると変わらず変異株は発生し、中国への行き来も制限状態に戻っています。2022年の年末から忘年会、そして年明けて新年会需要は拡大していますが、10人を超える団体会合は敬遠される傾向は変わらないようです。飲食業にとっては大人数の会合は調理もしやすくコストパフォーマンスに期待できるのですが、まだ暫くの時間がかかるでしょう。


金融機関は業績の回復していない事業者に対して、再度の猶予を設ける可能性は低いでしょう。相当の付き合いが長い融資先や、コロナ禍による現状が続いてもビジネスの転換ができる事業者に限って期待ができますが、あくまで少数のような懸念があります。


実際に筆者と付き合いのある地方銀行は主観として、2023年春から夏にかけては旅行業や飲食店にとって本当の冬が来るのではと懸念していました。国や自治体からも更なる支援という声は聞こえてこないため、それぞれの事業者がどのように回復図を描くかが試されます。


筆者自身も8年目の経営者のため身に染みた感覚ですが、日本は起業家推進やチャレンジを(欧米に倣って)推進している割には、まだまだ失敗に対して厳しい国のように思います。国民性なのでしょうか。数年前にもがき切った結果事業を畳んだ挑戦者が、今も再起を計れないのは、国にとっても市場にとっても損失であることは間違いありません。


今回のコロナ禍からの出口で(本当に出口なのかはまだわかりませんが)、本当の損失はなんとか抗ってきたビジネスを継続を、業績しか見ない判断によって閉じられてしまうことです。結局この国では何もしない方が良かったとならないために、いま現状はどうなのか、本当にコロナ禍からの回復期なのかをもう一度突き詰めて、継続策を計っていきたいところです。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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