つみたてNISAが若い世代に人気です。
全証券会社でのつみたてNISAの口座開設総数は、2021年末時点で約339万口座。2020年末の172万口座から96.5%増加しました。(日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2021年12月31日現在)より)。
1年間で、ほぼ倍増したことに驚きますが、詳しく見てみると衝撃の事実が判明しました。
20歳代の口座が2.23倍。30歳代も倍増
(グラフ1)は、四半期ごとの証券会社におけるつみたてNISAの口座数の推移です。特に2021年は、年間を通して、どの世代も口座数を大きく増やしました。
2021年末のつみたてNISA約339万口座のうち、20歳代の口座数は81.67万口座。前年末比2.23倍です。比較的早い時期から始めていた40歳代の82.61万口座に迫る勢いです。
30歳代は約113万口座で、こちらも約2倍に増えました。20歳代・30歳代という若い世代が、つみたてNISA口座倍増のけん引役となっています。
以前のコラム『金融商品は「老後のため」、投資にもっとも関心があるのは30代』(https://imakara.traders.co.jp/articles/50)で、最も証券投資を必要だと思う年代は30歳代だという日本証券業協会の別の調査をご紹介しました。彼らが実際につみたてNISAの口座を作り、行動に移している様子がうかがえます。
一方、70歳代や80歳代以上でも、つみたてNISAの口座数は18%ほど増えています。つみたてNISAの非課税期間は最大20年。年配の方の中には「いまから積立投資をしても遅い」と敬遠される方もいらっしゃいますが、20年間おろせないわけではありません。必要に応じて、いつでも現金化できるのです。
むしろ、年齢が高いからこそ、敢えてつみたてNISAを選んでいる方もいらっしゃるでしょう。積み立てという「時間の分散」は、価格変動リスクを抑える運用方法だからです。
残高は大きく違う「つみたて」と「一般」
若い世代がつみたてNISAに集まるのは、非課税期間が最大20年、年間非課税枠が投資元本40万円という点で、資産形成ニーズに合っているからといえるでしょう。非課税期間が最大5年、年間非課税枠が元本120万円という一般NISAと、昨年末時点での年代別残高シェアを比べてみました(グラフ2・3)。
みごとに景色が違っていました。
2021年末の残高では、つみたてNISAの主力選手は、30歳代、40歳代。20~40歳代で4分の3を占めています。
一方、一般NISAの残高シェアトップは、70歳代です。次いで60歳代、50歳代。子育てが一段落したとみられる60歳代以上で残高の半分以上となっています。
つみたてNISAの特徴は、長期・積立・分散投資。一般NISAは、非課税金額の枠が大きく、投資対象も幅広い、汎用性のある制度設計になっています。長期間にわたって資産形成をしたい若い世代と、比較的資産額に余裕のある年齢層。それぞれの世代で、うまくNISAの特徴を活用している様子です。両者の違いは、前回記事『「つみたてNISA」の9割に迫る、投資デビュー』をどうぞご覧ください。
【出典】日本証券業協会「NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果について」
・NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果(全証券会社) 「直近データ (2021年12月末)」