老後のお金のはなし

金融商品は「老後のため」、投資にもっとも関心があるのは30代

以前なら、「元本保証でないとイヤ」と言っていた方から、最近、「イデコについて知りたい」「ニーサって、やった方がいいの?」と質問をされるようになりました。

 

インフレが進んでいるからでしょうか。それとも、高齢社会になり、老後資金を備えようとしているからでしょうか。いずれにしても、日々、家計の話に触れるたびに、投資への関心が高まっていると感じています。

 

1.株式や投資信託への興味が高まっている

 

日本証券業協会では、3年に1度、個人が保有する金融商品の実態や、金融商品や投資に対する考え方を調べています。2021年度の「証券投資に関する全国調査」では、全国の20歳以上の7,000人を対象に行なわれました。

 

「興味を持っている金融商品」として、株式に興味を持っている人は18.1 %、投資信託に興味を持っている人は14.5 %でした。預貯金の54.7%より水準はかなり低いものの、株式や投資信託は3年前より増加し、預貯金や「興味を持っている金融商品はない」という回答は減少しています。

 

2.「将来や老後の生活資金として」が約7割

 

(グラフ1)は、金融商品を持つ目的を複数回答で尋ねた結果です。最も多い回答は「将来・老後の生活資金」で、2018年の66.4%より増えて68.6%でした。

 

2位の「将来の不測の事態への備え」は、3年前から減少、3位の「子供や孫の教育資金」も減っています。「不測の事態」より「必ず訪れる老後」、「子や孫」より「自分の生活」ということでしょうか。



3.証券投資が必要だと思う年代ナンバーワンは30代

 

金融商品のうち、株式、債券、投信の購入を「証券投資」と呼んでいます。証券投資の必要性については、調査ごとに必要だと思う人は少しずつ増加しています。

 

2015年度に「必要だと思う」と回答した人は23.7%、2018年度は25.1%。これらに対し、2021年度は30.9%に増えました。

 

必要だと思う人を年代別に見ると30代が最も多く、次いで40代、20代となっています。興味深いのは、60~64歳の層で必要性を感じている人が20~30代と同程度にいたこと。定年退職し、老後の生活を実感する頃、投資が必要だと感じるようになったということでしょうか。



4.投資が必要だと思う理由、必要ないと思う理由

 

とはいえ、まだ、証券投資を必要だと思わない人の方が多いのが現状です。必要だと思っている人、いない人のそれぞれの理由を、上位3つまでご紹介しておきましょう(複数回答)。

 

<証券投資が必要だと思う理由・TOP3> n=2,164

1.預貯金だけでは十分利息を期待できない   63.7%

2.将来・老後の生活資金として準備できる   59.2%

3.現在の保有額では将来の生活に不安          32.5%

             

<証券投資が必要とは思わない理由・TOP3> n=4,825

1.損する可能性がある       43.7%

2.金融や投資に関する知識を持っていない   30.2%

3.ギャンブルのようなもの 28.2%

 

リスクを恐れる気持ちや、知識不足を挙げる人が多いようです。

 

この調査では、『「長期投資」・「積立投資」・「分散投資」がリスクを減らすのに有効ということを知っているか』という質問もあります。「知らない」と回答した人は、証券投資をしていない人も含めた全回答者のうち、約6割。これらの結果を踏まえ、リスク分散の方法をお伝えしたいと感じました。

 

今後、このサイトでは、投資初心者の方や、これから投資を始めたいという方に向けて、正しい投資の知識をお伝えしていきたいと思っています。どうぞお楽しみに。

 

【出典】日本証券業協会「証券投資に関する全国調査」

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/data/20211228150914.html

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ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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