【トレンドライン分析~その①】

トレンドライン分析で何がわかる?

過去の一定期間をさかのぼってチャートの全体像をみると、その方向性をトレンドでつかむことができます。


しかし、トレンドを漠然とみているだけでは、そのトレンドがいつ転換するのかを把握することはできないでしょう。投資に最も重要な投資のタイミングを見逃すことになりかねません。


そこで、大ざっぱなトレンドをより精密に捉えようとするトレンドライン分析が必要になります。トレンドライン分析は価格推移に1本の直線を引き、トレンドをより具体的につかむための手法です。この1本の線が入っているチャートをみることで、価格の方向性を一目瞭然に全体像としてつかむことができます。


価格が上昇しているときに引く直線を「上昇トレンドライン」、下降しているときに引く直線を「下降トレンドライン」といいます。今回は上昇トレンドラインについて説明します。


上昇トレンドライン

上昇トレンドラインは価格推移の中で生じた安値同士を結んで引きます。このため、上昇トレンドでは価格は上昇トレンドラインを上回る水準で推移し、上昇トレンドラインを下回る安値は基本的に存在しません。「下値支持線」と呼ばれることもあります。


図表は、NTT(9432)の週足チャートです。安値同士を結んだ直線が複数確認できます。角度の急な上昇トレンドラインが引かれるときは騰勢が強く、角度の緩やかな上昇トレンドラインが引かれるときは騰勢が弱いと判断します。直近に引かれた上昇トレンドラインが、それ以前の上昇トレンドラインと比較して角度が急になったか、緩やかになったかに注目することで、勢いの変化を推測できます。


長く続く上昇トレンドラインは、息の長い上昇相場を意味するので重要視されます。上昇トレンドラインより上で推移していた価格が、上昇トレンドラインを下回れば騰勢の鈍化を示唆します。逆に、過去に引かれた上昇トレンドラインの下で推移していた価格が、上昇トレンドラインを上回れば騰勢の加速を示唆しています。


価格が2本の上昇トレンドライン間で推移しているときは、上側の上昇トレンドラインが抵抗線、下側の上昇トレンドラインが支持線として機能することがあり、それぞれの売り買いの目標値をはかる判断材料として利用することができます。


上昇トレンドライン付近で価格が反発に転じる回数が多いほど、有効な上昇トレンドラインといえるでしょう。ただし、その回数の多さはトレンドが終了してからでないと比較できないため、直近で反転頻度が多い上昇トレンドラインに着目することが重要です。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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