野球の祭典WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が終わりました。日本は全勝優勝という華々しい結果に終わり、日本全国が歓喜の余韻に浸っています。さて、今回大活躍をして確固たる評価を得たのがロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手です。
野球をする子を掲げる親なら一度は、我が子は大谷選手のように活躍して欲しいと願うもの。そこで、今日は、野球をはじめた少年から大谷選手が生まれる確率を考えてみたいと思います。
生まれた子どもが高校生まで硬式野球を続ける可能性は約4%
まず、現在高野連に所属して野球をしている学生は131,259人です。(日本高等学校野球連盟:令和4年・硬式)。少し雑ですが令和4年(2022年)に高校3年生を迎えた子どもを2004年生まれとすると、2002年から2004年に出生した子どものうち、13万人が野球をしている計算になります(軟式やソフトボールを敢えて除いています)。
硬式野球人口:日本高等学校野球連盟
高校生でプロ志望届を出すのは154人
昨年2022年にプロとして指名されるために必要なプロ志望届を出した高校生は154人です。対象年度が異なることを前提とした比較になりますが、上記3年間の硬式野球人口の平均値が4万3753人ですので、ここから154人がプロ志望届を出すことになります。
プロ志望届は制度上誰でも出せるものですが、高校の名前もしっかりと掲載されるため、野球部の監督や親の許可を取らなければなりません。結果を残さないと提出できないハードルを潜り抜けた猛者たちが、その年のドラフト会議の指名を待ちます。
2022年にドラフト指名された高校生は52人
さて、この154人から運命の糸が繋がり、2022年のドラフト会議当日に指名された高校生は52人です。2005年から育成制度が始まり、未来を見据えた高校生の指名は格段に増えました。3人に1人の指名数ですが、プロ野球で高校生が貰えるブレイクまでの猶予期間は平均5年といわれます。厳しい戦いの始まりです。
「ドラフトで指名されました」が社会で重宝される理由
段階的に絞っていった表の最後は高校生指名数で終わりました。もちろんここから試合出場、レギュラー獲得と続きます。今回の表づくりで難しかったのは、大谷選手の場合、この次の段階は彼しか無しえない「1」となってしまうことです。
大谷選手の高卒1年目の成績
大谷選手が登場するまで、上記の成績は誤植扱いです。1人の選手が投手と打者で結果を残すわけがないからです。「二刀流」という言葉が野球ファン以外にも浸透していきます。ここから大谷選手は所属チームを優勝に導き、メジャーリーグへ挑戦。メジャーでMVPを獲得し、2023年に日本を12年振りの世界一に導きました。
当然ここまでの過程のなかで行き詰まり、ドラフト指名されても数年間の挑戦で選手としての道を諦めざるを得ない選手たちがいます。ただ、ドラフトで指名された選手たちは立ち位置を変えて形を変え、社会でとても重宝される印象があります。
いずれの方も仕事で重要なポジションを任され、活躍しています。ひとつのことに邁進してドラフト指名という結果を得た実力、人間力、そして運の良さに期待するまわりの気持ちがよくわかります。
大谷翔平になれるのは天文学的な確率だが…
野球を全力で楽しみ、成長を渇望する子どもはもちろん投資商品ではありません。それでも目標を持つ子どもは大谷選手を目標とし、毎日努力を続けます。もしかして我が子も、と願う気持ちは、時に子どもの後押しとなっていくはずです。
野球好きな子が大谷選手になれるのは天文学的な確率の低さです。それを前提としたうえで考えたいのは、子どもに投資し、週末も練習を手伝いにいくなど時間を確保するなかで、子どもはしっかりと社会人に向けての勉強をしているといえるでしょう。
親にとっても子どもと併走することで、仕事だけでは得られない代えがたい時間を過ごせることにつながります。暖かくなってきたので、今日もまた近くの公園には練習に汗を流す親子の姿が映っています。