【サイクルトランスレーション~その②】

サイクルトランスレーションの概要

サイクル(周期)は、「谷」→「山」→「谷」の一連の流れのことをいいますが、実際の相場の周期や振幅は不規則で、山や谷の位置も左右どちらかに偏っています。この状態を、「トランスレーション」と呼びます。


サイクルの山が谷と谷のちょうど真ん中(理想的な中点)に現れることはめったにありません。谷から谷までの期間が一定の周期性を持っている複数のサイクルでも、山から山までのそれぞれの期間は異なる場合が多いからです。


サイクルトランスレーション分析は、山がどちらの谷の方に寄っているか、どちらの谷の方が高いかによって、相場の強弱を判断しようとするものです。


サイクルの山はより長期のサイクルの影響を受けます。周期の異なる複数のサイクルが存在する場合、より長期のサイクルがより短期のサイクルに対して支配性を発揮し、短期のサイクルはしばしば延長や短縮することがあります。


レフト・トランスレーション(左変型)

下降トレンドでは、サイクルの山が理想的な中点から左側にずれることが多いです。サイクルの山が左側に位置する場合を「レフト・トランスレーション(左変型)」と呼びます(図表1)。


株式や為替、商品先物などの下降トレンドでは、下降局面の方が上昇局面の期間よりも長いという特徴があります。したがって、山はサイクルの中点よりも左側に現れることが多いのです。


レフト・トランスレーション(左変型)は、(1)上昇期間よりも下落期間の方が長い、(2)両側の谷のうち、サイクルの始点より終点の方が低い。この(1)と(2)を兼ねた形状が理想的な弱気相場です。


図表2は、エムスリー(2413)の日足チャートです。大きな下降相場の中で小さな上げ下げのサイクルが確認できますが、いずれも下落する期間の方が長く、谷はサイクルの始点より終点の方が低いことが確認できます。



日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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