「蔦屋重三郎」が大河ドラマの主役になってどのような投資銘柄が狙えるか

2023年4月27日、2年後の2025年の大河ドラマに、蔦屋重三郎を主人公とした「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が放送されると発表されました。主演は今をときめく横浜流星さんです。


浮世絵の版元であり、喜多川歌麿(浮世絵)や東洲斎写楽(浮世絵)、歌川広重(錦絵)、滝沢馬琴(読本)、十返舎一九(劇作家)を世に出したといわれています。


これまで大河ドラマでは採用されなかった時代背景であり、いわば「本屋のおっちゃんの人生(脚本家談)」なのですが、界隈は盛り上がっているようです。界隈が持ち上がるなら、そこに単元株投資のチャンスが隠れています。


一大古本ブームが到来するか


いつも大河ドラマの新作発表時には主人公が活躍した場所や生誕地にスポットライトがあたります。ここ数年では埼玉県深谷市(渋沢栄一の出身地)から鎌倉と続き、本年2023年は愛知県岡崎市が注目されています。来年2024年は紫式部なので京都が舞台です。その翌年に江戸の町人文化に移ることとなり、当代の言葉を使えば「粋だねえ!」という声が響いていくでしょう。


もうひとつ、蔦屋重三郎はかのレンタルチェーンTSUTAYAの名の由来と言われています。なおTSUTAYAを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)によると、創業者の祖父が蔦屋(つたや)という桶屋を経営しており、蔦屋重三郎ではないとの公式声明を出しているようです。


とはいえTSUTAYAのように、古本ブームが到来する可能性が高いと思います。最近はデジタル進化の反動のように、昭和以前に使われたツールに注目が集まります。出版全体というよりも東京は神保町の古本のようなイメージです。


インターネットですべての情報が取得できる世の中で、その古本を読まないと得られない特別感というのでしょうか。ChatGPTが世界を変えるニュースのあとで、古本との出会い。そのギャップは人生を豊かにするものです。


ドラマの舞台は「日本橋通油町」


ドラマの舞台は日本橋通油町です。「つうゆちょう」ではなく、「とおりあぶらちょう」と読みます。浮世絵を始めとしたベンチャービジネスが次々と生まれた地域で、江戸のシリコンバレーという通称もあるとか。


現在ある地名ではなく、大伝馬町の一部です。東京以外の方にとっては、馬喰町一体といえば伝わるでしょうか。日本のベンチャーは2010年前後から何度目かのブームが到来したものの、最近は金利の引き締めにて資金の対外調達に苦労している会社が目立ちます。あらためて再点火する起爆剤となるでしょうか。


世の中がコロナ禍から明け、社会は起爆剤を求めているように思えます。約300年前に人々は何を仕掛け、どのような挑戦が実を結んでいったのか。2025年ともなれば、かの地を熱気で包む山王日枝神社へのお神輿も復活するでしょう。


日本史学習でも軽視されがちな町人文化


今回、蔦屋重三郎が主役になったことに、発表直後から驚きの声が聞かれました。学生時代の日本史の授業でも通史(〇〇年に△△の戦いがあり、××が征夷大将軍に)が中心であり、いわゆる町人文化は二の次でした。


大学受験など作者の作品名を覚えても、それがどのような時代背景で、どのような属性の人たちから作られたものかは、一歩学習に深入りしなければ得られなかった記憶の方も多いでしょう。この部分を注目の若手俳優が埋めるのは、とても効果の高い取り組みといえるでしょう。


着物や手ぬぐいなどの江戸発祥文化、相撲や落語、歌舞伎などの盛り上がりが見られそうです。広義的な解釈をすると、クールジャパンの枠組みで世界に発信されるかもしれません。


注目を浴びそうな投資銘柄


具体的な投資銘柄についても見ていきましょう。TSUTAYA(CCC)は非上場かつ会社自体が否定しているため影響無いとしても、いわゆる伝統文化系は注目されるでしょう。


歌舞伎座(9661)、名古屋の御園座(9664)などの歌舞伎・落語銘柄はドラマに呼応して注目度が上がりそうです。派生して映画会社(松竹・東宝・東映)などに興味を示す人も多いでしょうか。


歌舞伎座(9661)



ストライクに古本という点に着目すると、ブックオフグループ(9278)の存在感が強いです。ただ古書というよりも均一買取で業績を伸ばしてきたため、印象や品揃えの視点で盛り上がりに乗っていけるか。地図やレコードとも親和性は高いでしょうか。


ブックオフグループ(9278)


全盛期のような怪物視聴率が期待できなくなったとはいえ、未だに協力はソフトパワーとしての力を持つ大河ドラマ。若者も二次元の世界などで戦国大名に親近感を持っており、世代間ギャップを埋めるツールとしての有用価値もあります。


まずは町人文化の前に放送されている戦国時代と、来年の平安貴族文化に期待しましょう。2年続けて、これまでスポットライトの当たっていなかった「華やかさ」が対象になります。日本がなんとなく数年引いていた長引く風邪が、ようやく治癒する雰囲気に包まれていくのかもしれません。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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