NYマーケットダイジェスト・9日 株安・金利上昇・円もみ合い

(9日終値)

ドル・円相場:1ドル=135.23円(前営業日比△0.13円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=148.23円(▲0.45円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0962ドル(▲0.0042ドル)

ダウ工業株30種平均:33561.81ドル(▲56.88ドル)

ナスダック総合株価指数:12179.55(▲77.37)

10年物米国債利回り:3.52%(△0.01%)

WTI原油先物6月限:1バレル=73.71ドル(△0.55ドル)

金先物6月限:1トロイオンス=2042.9ドル(△9.7ドル)


※△はプラス、▲はマイナスを表す。


(主な米経済指標)

特になし


(各市場の動き)

・ドル円は小幅ながら3日続伸。米10年債利回りが上昇に転じたことをきっかけに円売り・ドル買いが先行。アジア時間の高値135.32円を上抜けて一時135.36円まで上値を伸ばした。24時前には134.96円付近まで下押しする場面もあったが、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「インフレは高すぎる」「追加利上げが適切な場合は、実施する」と述べたうえ、年内の利下げ転換に否定的な見解を示すと再び強含んだ。2時前には135.27円付近まで持ち直している。

 もっとも、米連邦債務上限を巡るバイデン大統領と議会指導部による協議の行方や明日の4月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの思惑から、大きな方向感は出なかった。


・ユーロドルは続落。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが優勢になると、22時30分前に一時1.0941ドルと日通し安値を付けた。市場では「欧州中央銀行(ECB)の利上げが米連邦準備理事会(FRB)より長期化するとの観測を背景にユーロ買い・ドル売りが進んでいただけに、ポジション調整目的のユーロ売り・ドル買いが出やすい」との声が聞かれた。

 ただ、売り一巡後はもみ合いに転じた。米債務上限問題の行方と明日公表される米インフレ指標の結果を見極めたいとの思惑が広がり、積極的な売買は手控えられた。


・ユーロ円は3日ぶりに反落。ただ、NY市場に限れば狭いレンジ取引に終始した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。

 なお、ナーゲル独連銀総裁は「インフレ率は高すぎる」「金利はさらに上昇するだろう」と述べたほか、シュナーベルECB専務理事は「インフレを目標水準に戻すためにさらに多くのことをしなければならない」「市場が想定している年末までに利下げを行う可能性は著しく低い」と発言したものの、相場の反応は限られた。


・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。米債務上限問題を巡る与野党対立の深刻化および長期化への警戒感から売りが先行。指数は一時100ドル超下落した。ただ、売り一巡後はもみ合いに転じた。明日の4月米CPIの結果を見極めたいとの思惑が広がり、積極的な売買は手控えられた。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落した。


・米国債券相場で長期ゾーンは4日続落。米債務上限問題の行方や明日公表される米インフレ指標の結果を見極めたいとの思惑から、積極的な売買は手控えられた。

 なお、この日行われた3年債入札は「堅調」と受け止められたものの、相場の反応は限られた。


・原油先物相場は3日続伸。中国の4月貿易統計で輸入の減少が明らかになり、同国のエネルギー需要が先細りするとの思惑から売りが先行。ただ、取引時間中には「バイデン米大統領が年内にも戦略石油備蓄の補充を始める計画」との報道が伝わり、一転して買い戻しが優勢となった。


・金先物相場は続伸。明日の米CPIを控えてしばらくは方向感が定まらなかったが、取引時間終盤にやや買いが強まった。米連邦債務上限問題が意識されて、安全資産とされる金相場に買いが向かった。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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