米国市場ではETF(上場投資信託)への投資が活発です。大型株に投資するタイプから成長株の指標に連動するもの、米国債の指数をベンチマークとするETFなどさまざまなタイプがあります。
景気やマーケットの動向などに応じて使い分け、リスクを軽減させる手段として活用することも可能です。売買も手軽で、使い方次第で大きな武器になりそうです。そんな海外ETFの内容を簡単にまとめたこのコラム、今回は人工知能(AI)の進化を支える重要インフラとして、最近の半導体メモリーブームで一躍注目を集めるラウンドヒルのETFをご紹介します。
生成AIの裏で急増する半導体メモリー需要
株式市場では、米エヌビディア(NVDA)に代表されるAI用画像処理装置(GPU)を開発する企業に大きな注目が集まってきました。しかし、どれだけ高性能なGPUを搭載しても、データを一時的に記憶・処理するメモリーの性能が追いつかなければ、AIの処理能力を十分に発揮することはできません。
いま、生成AIの爆発的な普及や大規模データセンターの急速な建設・拡張にともない、大量のデータを高速でやり取りできる高帯域幅メモリー(HBM)や、従来のDRAM、NAND型フラッシュメモリーといった半導体メモリーの需要が急拡大しています。

これまでは景気循環の波(シリコンサイクル)に激しく左右されがちだったメモリー市場ですが、現在はAIインフラの構築という長期的な成長ストーリーへと突入しているとの見方が強まっています。こうした空前のメモリーブームを背景に誕生したのが、今回紹介するラウンドヒル・メモリーETF(DRAM)です。
メモリー半導体特化型のアクティブETF
ラウンドヒル・メモリーETFは、Cboe BZX取引所に上場するメモリー半導体関連企業に特化したETFです。
運用会社であるラウンドヒル・インベストメンツは、ユニークなテーマ型ETFやアクティブ運用の分野で知られる資産運用会社です。AIインフラ戦略の切り札として、2026年4月1日にラウンドヒル・メモリーETFを上場させました。
一般的な半導体ETFは、GPUを主軸とするエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などが上位を占めるため、メモリー企業の比率はさほど高くなりません。しかし、このDRAMは、メモリー半導体分野で高い市場シェアを持つグローバル企業のみを厳選してポートフォリオを構築するピュアプレー(純粋な特化型)の設計となっています。

ラウンドヒル・メモリーETFの純資産総額は上場後に急増しており、マーケットの関心の高さがうかがえます。純資産総額に対する管理報酬(経費率)は年0.65%です。このETFは特定の指数に機械的に連動するインデックス型ではなく、アドバイザーが市場環境を評価しながら四半期ごとにリバランスを行うアクティブ運用のスタイルを採用しています。
三大巨頭が主導するポートフォリオと構成銘柄
ラウンドヒル・メモリーETFが組み入れているのは、グローバルなメモリー市場をけん引する少数の精鋭企業です。ポートフォリオの最大の特徴は、世界のDRAM、HBM市場をほぼ独占する三大巨頭への圧倒的な集中投資にあります。
保有比率の上位を確認すると(2026年6月28日時点)、首位は世界最大の半導体メモリーメーカーである韓国のサムスン電子で、構成比は25.8%に上ります。米国のメモリー大手で株価の躍進が著しいマイクロン・テクノロジー(MU)が2位につけ、現物・スワップを含めて構成比は25.5%です。
韓国の半導体大手で、生成AI向けの次世代超高速メモリーのHBM市場をリードするSKハイニックスが3位で構成比は24.6%です。上位3位は僅差で競り合っており、順位はしばしば入れ替わっています。

また、これら米韓の3大巨頭以外にも、フラッシュメモリーやストレージ製品を手掛ける日本のキオクシアホールディングスが上位に入っているほか、サンディスク(SNDK)や、ハードディスク・SSDの大手のシーゲイト・テクノロジー(STX)などが名を連ねています。
国・地域別の構成比では、世界市場を二分する韓国と米国が圧倒的で、日本や台湾が続きます。グローバルなメモリーサプライチェーンをそのまま丸ごとパッケージ化したような構成になっています。
投資パフォーマンス、今後の期待とリスク
ラウンドヒル・メモリーETFは2026年春に上場したばかりの非常に若いETFですが、上場直後からAIサーバー用メモリーの深刻な供給不足(キャパシティ・クランチ)が報じられるなど、追い風を受けて基準価額はダイナミックな値動きを見せています。
ただ、注意しておきたいのは、半導体メモリーという産業が持つ固有のリスクです。かつてほどではないにせよ、メモリーは価格の変動(市況の乱高下)が激しいコモディティの側面を依然として残しています。需要が一巡して供給過剰に陥れば、各社の業績や株価は一転して急落するリスクを孕んでいます。
とはいえ、自動運転車、5G/6G通信、そして進化を続ける生成AIのモデルを動かすために、データの記憶容量と処理速度に対する世界の要求が減退することは考えにくい状況で、このラウンドヒル・メモリーETFはポートフォリオのアクセントになり得るとみられています。



