あの株はいまいくら?

第49回 物流の安全に関するコンサルティングの「アスア」 決算発表後の上昇で流れ変わるか?

「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回は2024年9月に東証グロースに上場したアスア<246A>をみていきます。


同社は、物流事業者の安全活動を継続的にサポートするコンサルティング事業、コンサルティング事業で行っている安全活動につながるエコドライブをメッセージングサービスで支援するCRMイノベーション事業、一般企業のビジネスフォンや通信ネットワーク機器の販売・工事・保守を行い、企業のDX化を通信インフラで支援を行う通信ネットワークソリューション事業を行っています。


2023年6月期の売上高構成比は、コンサルティング事業53.5%、CRMイノベーション事業19.7%、通信ネットワークソリューション事業26.8%となっており、売り上げとしてはコンサルティング事業の比率が最も高くなっています。


物流の2024年問題などによる規制強化は同社にとって追い風になるとみられており、堅調な初値が期待されていました。では、実際にどのような株価の動きになったのか、アスアの上場からの株価の動きを確認します。



アスアの株価推移(上場から2024年11月14日まで)

同社の初値は1004円と公開価格680円を大きく上回りました。初値形成後は1286円まで上昇。その後失速しましたが、上場初日の終値は初値を上回る1069円となりました。


上場2日目、3日目はやや売りに押されましたが、すぐに切り返しの動きとなり、10月9日には1443円まで上昇しました。なお、この10月9日の高値1443円が上場来高値(2024年11月14日時点)となっています。ただ、勢いが良かったのはここまででした。


10月10日に急落となり、11日には1000円の大台を割り込みました。その後、株価は下値を切り下げる展開となり、11月11日には687円まで下落。この11月11日の安値687円が上場来安値(2024年11月14日時点)となっています。


株価下落の悪い流れを変えたのが決算発表です。11月13日に発表された25.6期1Q決算では、営業利益は4500万円(前年同期比3.2倍)となりました。上期の会社計画の営業利益は6800万円となっていますので、進ちょくも良好です。


会社側は、増益の要因について、主力のコンサルティング事業において、2024年問題や物流関連二法の改正により、物流業界が変革期を迎えたといった背景もあり、コンサルティングサービス「TRYESサポート」が順調に推移したことや、安全活動支援の定額クラウドサービス「TRYESレポート」の販売が拡大したことなどが寄与したとしています。


上記の決算と合わせて、トヨタ自動車<7203>傘下のトヨタモビリティパーツの大阪支社と共同で行ってきた受注情報からトラックの積載率を可視化するシステムの開発について、従来目視で行っていた積載量について、同社が開発したシステムを用いた実証実験の結果、車両ごとの積載量を把握することに成功したことも発表しました。


決算とトヨタ自動車傘下とのプロジェクトの進展が好感され、11月14日の株価はストップ高の791円まで上昇しました。



【アスアの日足チャート(上場から2024年11月14日まで)】



まとめ

決算発表などを受けて、10月半ばから続いていた下値を切り下げる展開がいったん終わりました。ただ、安心はできません。1Qの業績が堅調だったといっても利益水準が低いため、これをもって通期も安泰といえるようなものではないからです。

2024年問題などによる規制強化の追い風をしっかりと業績結び付けられるか、今後の業績推移も確認すべきと考えます。ただ、トヨタ自動車傘下とのプロジェクトが進展しているという材料が出てきたことは好印象です。業績推移の安定に加え、プロジェクトが順調に進展すれば、1000円の大台回復もあると考えます。


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日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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