2023年5月22日に本メディアにて「万が一のアメリカ経済デフォルトの場合、NISA塩漬け勢は大丈夫か」という記事を執筆しました。後日談です。
5月31日にアメリカ連邦政府は借金限度額を定めた「債務上限」について、2025年1月まで停止する法律に超党派で合意しました。今回のデフォルトを最優先で回避させようとする政権与党の民主党と、債務上限の回避には現行の(民主党の)政策転換を条件とする野党の共和党が合意した形です。
前項でも言及しましたが日本は資産運用の勃興期です。パパ友・ママ友から〇〇のS&Pがいいよ、Youtubeで△△のオルカンがいいよ、と断定色の強いメッセージを信じ、その投資信託が何を組入れているのかも調べないで購入し、基準価格の推移を見ていない人たちがいます。
次の休みに自分の評価額推移を見てみましょう
2023年6月2日現在の日経平均株価は3万1524円、前日比376円の上昇を記録しています(終値)。NISAにて購入されることの多いアメリカの相場も安定してきており、日本株・米株ともに単元株も投資信託も戻してきてる銘柄が多いでしょう。普段つみたてNISAをしていて定期的に評価額を見る習慣のある方々は、ほっと安堵されていることかと推察します。
安堵している時に茶々を入れるようですが、アメリカのデフォルトを巡る報道が続いたこの一週間に、自分の資産ポートフォリオがどうなっていたのか、次の休みにでも評価額推移を見てみましょう。前項でも示した通り、万が一のことがあればパッシブ投資中心でも、基準価格は大きく下落していたと予想されます。
加え高いリスクがあると筆者が危惧しているのが、これだけ乱相場の要素があっても評価額を見る習慣の無い方です。なかにはIDやパスワードを忘れ、証券会社のマイページに入れないという声もあります。証券会社のページは自分の預貯金を有する銀行口座の通帳と一緒です。
そのような方も次の休みには少し長めの時間をとって、この一定期間に自分の評価額がどう変わってきたのかを調べてみましょう。そして、筆者が勧めるのは評価額の上下動があるなか、いわゆる底値にあるときに自分が不意に確認したらどういう行動を取るかということです。
購入時1株500円で、一時期300円まで落ち込んだ評価額がいま550円まで戻している場合、300円のタイミングで数カ月ぶりに評価額を見たらどう思うかです。資産運用について最も怖いのは、下落事実に落ち着きを失って長期安定投資を一時期の下落で損切りすることです。
長期安定投資を慌てて損切りするリスク
もちろん資産運用において損切りは悪いことではありません。あらかじめ〇〇円になったら売却しようという損切り設定やリバランスは大事なことです。
ただ今回問題なのは、もともと評価額を見る習慣がないうえに、損切り基準をあらかじめ設定していないこと。「なんか、すごく落ちてる!売らなきゃ!!」で実際の売却行為まで進んでしまうことです。結果、評価損は売却損となり、資産運用から離れていってしまいます。
NISA塩漬け勢だからこそIFAを近くに置きたい
だからこそ評価損を見たときに、それが今後も続く下落なのか、一時の動きなのか判断する方法を持ちたいものです。プロフェッショナルが無数に参画する投資相場において、本業が別にある方が片手間の勉強で抗うほど単純ではありません。だからこそ近くにIFAを置きましょう。
IFAとは証券会社に登録しつつも、販売方針などは会社と一線を画し、独立を維持する証券のスペシャリストを指します。NISAの加入者が増えてきたことでIFAも知名度を上げてきました。インターネットのマッチングサービスなど、IFAと気軽にコンタクトを取ることのできる方法も増えています。
多くのIFAは顧問報酬を取らず、売買の手数料で報酬を得ています。売買ありきのIFAも皆無ではありませんが、知名度が上がることは業界内でのIFAの競争倍率も上がることです。早々に売買目的のIFAは淘汰されていくことでしょう。また、インターネットは評価がリアルタイムで拡販される世の中です。
友人の紹介、IFA会社の斡旋、マッチングサイトに至るまで、IFAとの接点は数多くあります。ぜひ自分にあったIFAを側に置き、特に今回のような乱高下が予測される自体において、アドバイザーを求めることをお勧めします。
なお日本では資産運用のスペシャリストがすべてIFAというわけではなく、FP(ファイナンシャルプランナー)や資産アドバイザーなども専門知識を持っています。ただ、NISAを始めとした証券運用はIFAとして証券会社に登録した人間にのみ許可されておりますので、詐欺に合わない観点からもその点は特に留意しましょう。