一目均衡表は5本の線で構成されている
一目均衡表は、昭和初期に一目山人(ペンネーム)が長年の研究により考案した文字通り一目で相場の均衡を捉えるチャートです。前回は、目均衡表の歴史や考え方、作成の方法などについてかんたんに解説しました。
一目均衡表は、日々のローソク足(価格)と5本の線で構成されます。今回はこの5本の線を使って、相場の強弱を判断する「三役好転(逆転)」についてかんたんに解説します。
一目均衡表は以下の5本の線で構成されています。
(1)転換線…(当日を含む過去9日間の高値+安値)÷2
(2)基準線…(当日を含む過去26日間の高値+安値)÷2
※基準線と転換線は当日の値として記入
(3)先行スパン1 …(転換線+基準線)÷2
(4)先行スパン2 …(過去52日間の高値+安値)÷2
※先行スパン1と2の値を、当日を含む26日先に記入
(5)遅行スパン…当日の終値を当日を含む26日前の位置に記入
※現在の価格と並行する線となる。
抵抗帯(雲)…先行スパン1と2の間の帯状をいいます。
三役好転(逆転)の条件
「三役好転」とは一目均衡表で買いサインとなる、強気相場入りのことを示します。三役好転には条件があり、価格と5本の線の関係で判断する次の3つのポイントがあります。(1)基準線が上向きもしくは横ばいの状態にあるとき、転換線が基準線を上回る、(2)遅行スパンが26日前の価格を上回る、(3)現在の価格が抵抗帯(雲)を上回ること、です。
一方、三役逆転は売りサインとなる、弱気相場入りのことを示します。(1)基準線が下向きもしくは横ばいの状態にあるとき、転換線が基準線を下回る、(2)遅行スパンが26日前の価格を下回る、(3)現在の価格が抵抗帯(雲)を下回ること、が条件です。
転換線と基準線の関係
転換線が基準線を上回っている場合は「強気相場」、下回っている場合は「弱気相場」と判断します。(1)転換線が基準線を下から上抜けることを「好転」と呼びます(図表1)。移動平均線でみられるゴールデンクロスと近い意味があります。「好転」すれば買いサインとなり、相場の上昇が期待されます。ただし、基準線が上向きもしくは横ばいでなければ「好転」とはならないことに注意してください。基準線の上向きが伴わない場合は買いサインがダマシとなったり、価格の上昇は長続きしません。
(2)逆に、転換線が基準線を上から下抜けることを「逆転」と呼びます。移動平均線でみられるデッドクロスの状況と近い意味があります。「逆転」すれば売りサインとなり、相場の下落が懸念されます。ただし、基準線が下向きもしくは横ばいでなければ「逆転」とはならないことに注意してください。基準線の下向きが伴わない場合は売りサインがダマシとなったり、価格の下落は長続きしません。
遅行スパンと価格の関係
遅行スパンは、当日の価格を当日を含む26日前の位置に記入し、毎日つないだ線です。現在価格と並行する線となります。26日前の価格と比較することで、売りと買いのタイミングがわかるとされています。(1)遅行スパンが26日前の価格を上抜けた場合、「好転」の買いサイン(図表2)、(2)遅行スパンが26日前の価格を下抜けた場合、「逆転」の売りサインとなります。
価格と抵抗帯(雲)の関係
先行スパン1と先行スパン2の間の帯状を「抵抗帯(雲)」といいます。(1)価格が雲を上抜けば「好転」の強気相場入りと判断(図表3)、(2)価格が雲を下抜けば「逆転」の弱気相場入りと判断します。
ただ、雲を上抜けたり、下抜けたりすることは簡単ではありません。雲を上抜けられずに反落する(抵抗になる)ケースや、雲を下抜けずに反発する(支持になる)ことが多いといえます。それゆえに、上抜けすれば強い買いサイン、下抜けすると強い売りサインとなります。
以上、「好転」「逆転」という言葉がたくさん出てきましたが、それぞれ3つの「好転」が揃うことを「三役好転」の強気相場入り、それぞれ3つの「逆転」が揃うことを「三役逆転」の弱気相場入りと判断します。