半導体関連 世界株式戦略ファンドへの資金流入が続くか注目

投資信託協会のデータによりますと、2023年9月月間の投資信託資金流入額トップは、「インベスト世界厳選株式オープン(毎月決算型)」となりました。

2位と3位はeMAXIS Slimシリーズ米国株式(S&P500全世界株式(オールカントリー)が続きました。

そして、4位に「半導体関連 世界株式戦略ファンド(半導体革命)」が入りました。

同ファンドは2023年7月31日に新規設定され、わずか2カ月程度で資金が大きく流入しています。



半導体関連 世界株式戦略ファンドとは

同ファンドは、半導体関連企業の中から財務分析などファンダメンタルズ分析を通じて、企業の成長性や株価の割安度を検証し、銘柄を選定しています。

半導体関連企業とは、半導体や半導体製造装置などの設計・製造を手掛ける企業これらの企業に製品・サービスを提供する企業などとなります。



組み入れ銘柄の株価動向

組み入れ銘柄は総じて2023年前半に株価は大きく上昇しましたが、8月以降は軟調な動きに転じました。

米国の金融引き締め長期化への警戒感から米長期金利が大きく上昇したことに加え、決算発表を手掛かりに利益確定売りに押されたことなどが重荷となりました。


8月以降、半導体関連企業の決算が相次いで発表され、世界の半導体市況の鈍化傾向などが響き、多くの企業が減収・減益となりました。

一方、EV関連やAI関連企業では良好な決算を発表した企業もありましたが、これまでの株価の大幅上昇の反動から売りに押されました。


今後の投資方針

同ファンドを運用する三井住友トラスト・アセットマネジメントは、業績見通しが良好にも関わらず、株価下落によって割安感が強まり、投資魅力度の高まった銘柄に積極的に投資を行っており、今後の市場反転に備えたポートフォリオの構築に努めています。


またEVや自動運転車向けの車載半導体を提供する企業AIやデータセンター向けの半導体を提供する企業などについては、今後の需要増加が見込めると考えており、組み入れを継続する方針を示しています。


一方、スマートフォン向け半導体の需要サイクルは、2023年から2024年にかけて軟調な状況が続くと考えており、スマートフォン向けの売上高比率の高い企業に対しては慎重姿勢をとるとしています。


EVやAI関連分野の飛躍的な成長に期待

半導体産業では2022年後半から成長ペースが鈍化しており、専門家によると足元では停滞期に入っているとの見方がなされています。

コロナ禍で需要が急速に高まったスマートフォンやタブレット、パソコンに対する需要が一巡し、これらの分野の半導体需要の後退が停滞期に入っている要因とみられています。


一方、半導体市況は底打ちし、2023年末から2024年に欠けて改善し、回復局面に入るとの見方も強まっています。

直近の半導体関連企業の決算からも2024年にかけて回復局面に入る可能性が示唆されており、半導体市況の改善期待が高まっています。

特にEVやAI関連に関しては、今後飛躍的な成長を見込める分野として注目度が高まっています。

おう盛な需要が今後顕在化し、業績面の成長余地が着目され、半導体関連銘柄に見直し買いが入ることが期待されます。


またFRBによる米利上げ打ち止め期待が高まり、米長期金利が低下基調に転じた場合、半導体関連銘柄への買いが強まる展開となる可能性はあります。

さらに半導体産業は社会のデジタル化のけん引役となり、中長期的に成長することが期待されることから、同ファンドに投資する魅力があると考えています。


日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

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