2022~2023年は過去数十年に経験したことのないくらいの商品・サービスの値上げ期間であり、私たちの生活にも大きな影響を与えました。給料はそれほど増えていないのに、この値上げがいつまで続くか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
2023年末に出た消費者物価指数のデータを紐解くと、少しずつですが状況は変化しているといえそうです。本記事では2023年のデータをもとに昨年のインフレを振り返りつつ、2024年以降はどうなるかを予測してみます。ぜひ参考にしてみてください。
2023年のインフレはどうだった?消費者物価指数の推移を紐解く
消費者物価指数とは、モノやサービスなどの物価の動きを把握するための経済指標のことです。
本章では以下画像をもとに、2023年消費者物価指数の推移をおさらいします。
画像引用元:2020年基準消費者物価指数 全国2023年(令和5年)11月分|総務省
グラフだと少し見にくいのですが「総合指数」「生鮮食品を除く総合指数」をみていくと2023年1月の4%代をピークにして、その後は3%代で推移していました。「生鮮食品を除く総合指数」では、9月から3%を割り込んでいます。
「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」をみると、2023年4~9月まで4.5%前後で推移していましたが、11月に入り3.9%を記録しています。
2022年と比べてインフレはしているのでモノが高くなった印象を強く受けますが、値上がりが雪だるま式に進んでいく状況は脱したといえそうです。
2023年の値上げ・値下げ幅が大きかった品目は?
前年同月比をみたときに5%以上の値上げされた品目は以下のとおりです。
・生鮮果物 19.0%
・乳卵類 14.2%
・生鮮野菜 10.5%
・菓子類 9.9%
・穀類 7.5%
・家事用消耗品 12.3%
・教養娯楽サービス 10.5%
私たちの生活に影響の大きい生鮮食品に関する品目が多く、りんご(31.3%)・ねぎ( 29.0%)などを中心に大きな値上がりを見せています。鳥インフルエンザの影響により鶏卵 (26.3%)も大きく価格上昇しました。
ほかにもアフターコロナによるインバウンド需要の回復や、政府による旅行支援の影響を受け、宿泊料は昨年と比べて62.9%も上昇しています。ただし、インバウンドによる旅行需要の伸びが落ち着けば、2024年以降の宿泊料のインフレは落ち着いてくるかもしれません。
反対に電気代・ガス代は政府の負担軽減策により、前年同月比で10%以上下がっています。
・電気代 -18.1%
・ガス代 -11.6%
政府の負担補助金は2024年4月末まで延長予定であり、引き続きガス・電気料金のインフレは抑制される見込みです。
企業物価指数が落ち着き物価上昇のピークアウト感が出る
企業間物価指数とは、企業間で取引される商品価格をもとに算出した物価指標のことです。
画像引用元:企業物価指数(2023年12月速報)|日本銀行調査統計局
左のグラフを参考にすると、2022~2023年にかけて企業間物価指数の伸び率は鈍化しています。2023年12月のデータは前年同月比0%であったため、企業間取引における価格上昇は落ち着いたといえるでしょう。
2024年以降の企業の動きとして、仕入れコスト上昇による商品への価格転嫁は以前より少なくなると予想されます。
もちろん2020年よりも企業の仕入コストが上がっているのは間違いのない事実なので、どこまでインフレが進むかには注目してみる必要があります。
2%の物価安定が近づきマイナス金利は解除される?
日本銀行が掲げていた「2%の物価安定」は達成されている状況であり、近い将来マイナス金利が解除されるかが注目されています。
植田総裁は昨年12月に行われた政策決定会合後の記者会見にて「もう少しデータやさまざまな情報を見たい」との内容を発言しています。現状は物価安定化に近づいているとの見方もありますが、賃上げによる国民の実質賃金の上昇がないと難しいと考えているかもしれません。
東京商工リサーチが行ったアンケートによると、8割以上の企業が2024年の賃上げを検討していることがわかりました。ただし、2023年を超えそうと答えた企業は1割にとどまり、半数は2023年と同程度になると回答しています。
2月から春闘が始まり賃上げの動きが根強いと判断されると、2016年以来になるマイナス金利の解除が実施されるかもしれません。2024年に入り日本株はバブル期以来の最高値を更新し好調なスタートを切っていますが、政策金利の変更次第では大きな影響を与えそうです。