「雪のニセコ」の次に外国観光客向けインフラとして期待できる街は

北海道中央部のニセコ町がニュースにて報じられています。牛丼1杯2,000円、ラーメン1杯2,000円というインフレ極まった提供価格は、決して物価高騰によるインフレではありません。購入するのはニセコでスキーやスノボを楽しむ外国人観光客です。


世界屈指のパウダースノーが魅了

ニセコが外国人観光客から注目され、著名なスイスのサンモリッツなどと肩を並べると評判になったのは2000年前後です。世界中の数あるリゾート地のなかから選ばれたのは、世界屈指のパウダースノーにあります。スキーやスノボで滑ってもべた付かず、サラサラと落ちていく雪質は、以後20年余りでニセコの街風景を大きく変えました。


訪れる所得層に比例し、牛丼1杯2,000円、ラーメン1杯2,000円と範囲を限定した物価上昇が加速しています。食費だけではなく宿泊費、交通費に至るまで提供価格の高騰が見られます。コロナ禍も明けた2024年、日本のメディアにおいては「牛丼が常識外に高い街」と報じられる機会も増えてきました。


そもそもスキー場をはじめとした観光地は、提供価格が高騰するものです。ニセコにおいて牛丼やラーメンがこの価格で提供できるのは、他ならぬ購入する人たちがいるためです。観光に限らず、爆買いと呼ばれる消費財の大量購入は、日本のあらたな形として定着してきました。では、ニセコの次に外国人観光客向けインフラとして期待できる街はどこでしょうか。



京都以外に桜と紅葉を掲げられる場所はどこか

日本は諸外国と比べ、特徴的な四季がある国です。雪と同様、春夏秋冬の景色は多くの観光客を魅了します。特に春の桜と秋の紅葉は、日本特有の観光資産といえるでしょう。


ニセコも雪の季節は観光客が押し寄せるものの、冬以外は閑古鳥が鳴く季節もあります。夏は北海道自慢の壮大な自然や川でのラフティングが生まれてきたものの、まだ一年を通してという段階ではないようです。桜や紅葉も季節の一部分ではあるため、そこから派生した長期滞在の仕組みづくりが大切です。


そう考えたときに、真っ先に名前のあがる都市は京都です。ただ京都は歴史の長さと、交通問題からのオーバーツーリズムが大きな問題となっており、これ以上の観光投資は見込めないと本記事では考えます。


箱根を切り開いたスポンサーが目をつける必要性

さて、観光地がニセコのように外国人観光客向けに「化ける」には、スポンサーの登場が不可欠です。2000年以後、ニセコのパウダースノーに注目した資本が街全体をプロデュースし、観光地として整備しました。まるで1950年以後、箱根や日光を鉄道会社が切り開いた状況に似ています。日本列島における交通インフラの完成度は1950年と比べて何倍にも進んでいますが、これまでは注目されず、インフラ整備の可能性を残した地域として考えられる場所が2つあります。


北陸新幹線とリニアモーターカーに注目

1つは2024年春に開業が予定されている金沢、敦賀間の北陸新幹線の延伸です。延伸しても東京へ向かう時間が現行(2023年時点の在来特急からの東海道新幹線)と30分程度しか変わらないため、効果を訝る声はあります。ただニセコのような観光客は長期滞在を前提とするため、東京から1本で行き帰りできるメリットは確かなものです。桜であれば福井市の足羽山公園や九頭竜湖、秋の紅葉であれば同じく九頭竜湖や永平寺などが挙げられます。


もうひとつは東京と名古屋を約40分で結ぶリニアモーターカーです。途中山梨県(甲府市付近)、長野県(飯田市付近)、岐阜県(中津川市付近)に駅が建設される予定です。不透明なのは当初開通予定とされていた2027年が事実上延期決定されていることでしょう。あらたな開通時期が示されることによって、観光地としての再整備への動きも活発化することと考えられます。



不動産投資が先行指数になるか

リニア建設が遅れていることで、一度著しく高騰した駅予定地周辺の地価が今後、どのように動いていくか。観光地化の可能性を探る場合、ひとつの指標になります。ただ、箱根や日光がそうであったように、街を形作るのは複数の投資家ではありません。大きな権限を持ったインフラ会社のトップが、大きな英断を下せるか否かでしょう。トヨタ自動車が展開する静岡県裾野市の「Woven City」のような企業主体の馬力ある取り組みが期待されます。


もちろん、新幹線やリニアといった交通インフラが前提ではなくとも、地元企業の協働やSNSの拡散により、広がりつつある観光地が外国観光客の導線と結びつくことも考えられます。Googleのデスクトップに採用されて一躍脚光を浴びる観光地も増えてきました。行動力のある地域の担当者は、既にベンチマークとしてニセコを訪れていることでしょう。個人投資家の預託するお金が後に続くのは、果たしてどの地域になるでしょうか。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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